芳本美代子 コンプリート・80’sシングルズ




芳本美代子 コンプリート・80’sシングルズ
発売日 2008年8月27日
型番 TECH-25195-6


DISC.1
01. 白いバスケット・シューズ
02. 海辺のテレフォン・ボックス
03. プライベート・レッスン
04. Endless Love Song
05. 雨のハイスクール
06. ワンサイデッド・ラヴ
07. アプリコット・キッス
08. 16才の場面
09. 心の扉
10. 哀しみのレイン
11. 青い靴
12. 天然色の夏
13. Auroraの少女
14. Feel So Fine
15. 横顔のフィナーレ
16. 悲しきチャーリー
17. ヴァニティ・ナイト
18. シャ・ラ・ラ
19. for you…(美代子プライベートメッセージ)

DISC.2
01. 東京Sickness
02. It’s a Wave
03. Heroes
04. 綺麗なブロークン・ハート
05. 涙のイヤリング
06. 複雑なセレナーデ
07. 恋するブランニュー・デー
08. ハートのPuzzle
09. センチメンタル・カーニバル
10. 太陽の密会
11. サカナ跳ねた
12. 隠したJe taime
13. 真冬のウサギ
14. You…
15. BAD BOY…
16. Two To The Power of Love
17. 青い靴(ロング・ヴァージョン)



【アルバム一口メモ】普通、並の楽曲なら何度か聴いて良さが染みこんでいくものだが、一回聴いただけで心を鷲摑みされてしまう楽曲がある。私にとってそれは『白いバスケット・シューズ』であった。良い曲のオーラーが詰まったナンバー。





 新刊コーナーで目に留まったのでジャケ買いした一冊。イラストはなかなかに扇情的であるが、本編はどれも気品溢れる仄かなエロスの短編群である。

 堀辰雄、太宰治、芥川龍之介、森鴎外、といった文豪の名前が並ぶ。エロスを読みたい、だが部屋に持ち込めばお母さんに怒られる。そういう人にとって本書は『これはファミコンじゃないよ、MSXはパソコンだから勉強のための機械なんだよ』といって親の目の検閲をすり抜けることと同義の意味合いを持つ、高尚さを纏った娯楽、と言えるだろう。

 どの短編も興味深く読めたが、特に印象に残ったものにだけコメントを添えておこう。

 田山花袋『少女病』電車内で乗り合わせる女学生に、妄想を膨らませる妻帯者の思念が綴られる。現代で言えば『ストーカー』だろう。落とし物を拾って渡してやったので、向こうは私の顔を覚えたはずだ(こういう場合、男の想いとは逆に、女性側はなんとも思っていないのが常なのだが)といった超理論が面白い。オチは『アレッ? そっちに持って行っちゃうのね』という様相を呈する。探偵小説趣味的な一本。

 谷崎潤一郎『青塚氏の話』濃厚なる一本。若い映画女優を妻に持つ映画監督。その前に『貴方よりも奥様を知り尽くしている』と豪語する人物が現れ、とんでも理論を聞かされながらその人物の家に招かれ、とんでもないものを見せられる。というのが粗筋。
 あぁ、これだ、と読み終えて溜息をついた。初期、江戸川乱歩の短編を読んだような感慨。私は結局、こういう話が好きなのだなぁ、と再確認した次第。

 太宰治『満願』とても短い作品だが、色々と深読みできる一本。医者の奥さんの『さしがね』がどこに引っかかるか、がポイントになるのだが、私は幾分女性にだらしない太宰に対して、医者の妻が患者である新妻、それは肺病を患う夫を持つ美しい女性なのだが、その新妻が禁欲を強いられていることを敢えて太宰に見せつけ、太宰の仄かな新妻への興味も読み手に垣間見せながら、最後に『お許し』が出た新妻が、心浮き立たせてパラソルを回しながら帰路に就く様を美しく演出し、新妻の心が夫だけにあることも含め、それを『美しいものを見た』と照れ隠ししながら太宰に書かせるまでのことを指す『さしがね』に一票、というところだ。

 川端康成『舞踏靴』この作品が一番良かった。ちょっと純文学を侮っていた。読まず嫌いで勝手に『どうせ退屈だろう』というイメージしか川端康成には持ち合わせていなかったのだが、壊れかけ寸前の危うい青年の心象が、言い訳言い逃れひっくるめて、どうにかして踊り子のストッキングを所有したい。という強い思念を描いており、谷崎にも一脈通ずる粘着質な変態心理を見事に活写している。最後は純文学であるはずなのに、盗まれた女性もエスカレートしていき、エンタメ的で印象的なシーンをもって終わる。こんな作品があるのなら、川端康成ももっと深く読まねばならない。死ぬまでに読まねばならない。ヤフオクで全集を探してみようか、そんな気分にまで持って行かれた一本である。





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菊池桃子 ESCAPE FROM DIMENSION




菊池桃子 ESCAPE FROM DIMENSION
発売日 1987年5月27日
型番 80036-32

01. スターライト・ムーヴメント
02. ドリーミン’ライダー
03. Yokohama City of Lights
04. セイ・イエス!
05. アイヴォリー・コースト
06. ノン・ストップ・ザ・レイン
07. ラスト・ランナー
08. 夜明けのバスターミナル
09. Sundial


【アルバム一口メモ】菊池桃子のファンは熱狂的だった。クラスに猛烈なファンが一人いたがのめり込み具合が尋常ではなかった。『菊池桃子より岡田有希子がいい』と言ったら胸ぐらを掴まれた。アイツ、どうしてるかなぁ。結婚したかなぁ。セイ・イエス!


 このところ残業で自由時間が減っている。残業になると読書と執筆時間が大いに削られる。私が一番嫌いな『働いて寝るだけ』の人生だ。

 なんとか踏ん張らねばならぬ。己の文才を世に問わねばならぬ。涼しくなったらまたKindle本出すから、みんな宜しくね!

 で、今日の報告は昨日読み終えた本、アレン・カーの『ダイエット・セラピー』のご紹介である。





 これが結構カルチャーショックな一冊だったのだ。同じ作者の禁煙セラピーが、私にはドストライクで効いたので、この本にも期待しながら読んだのであるが、ちょっと複雑な読後感である。

 この本では『ハードなトレーニングをしろ』とか『絶食しろ』といった感じのダイエット方法は書かれてはいない。

 その点では体育会系とは真逆な私には優しかった。

 しかし、かなりトンデモな内容が書かれていた。いや、作られた常識に毒されていたのは私の方か。

 未読の方のために詳しくは書かないが(ダイエットしたい方は一読をお勧めする)人間である楽しみが『食』にある方にとっては、かなり辛い一冊ではないだろうか。

 かなり端折って書けば『ゴリラの食べ物をベースに生きていけ』ということ。つまり野菜、果物、ナッツ類のみで充分生きていける。人間に近いゴリラ。それが自然のマニュアル。

 牛乳が健康にいいなど嘘、ゴリラは動物を襲って肉を食べない。元々人間には肉を分解するようには出来ていない。ソースやタレの味を美味しいと思っているだけ。だから肉を食べると胃がフルパワーで動く、だから疲れて眠くなる。

 朝食はたっぷりのフルーツのみで、栄養と水分が補給できる。分解も身体に優しい。

 といった内容。食事を見直さなければ中年のメタボは解消されない、とは現在八キロの減量に成功している私も同意見だが、この本に従えば、今後豚骨ラーメン焼きめしセットも、カルビもホルモンも食べられなくなる。それはちょっと寂しい。

 でも、それが本当に寂しい人生なのか? 身体に毒を入れて、フルパワーでジャンクフードを分解しているだけじゃないのか? 生肉は美味いか? タレのない焼き肉をバクバクいけるか? 朝にフルーツ、昼にナッツ、夜にサラダという人類の自然マニュアルに従えば、スマートに分解して栄養は吸収され、痩せて健康になるのでは?

 レストランの数々のメニューは、人間がでっち上げた嘘の快楽情報ではないのか?

 みたいなことを色々と考えさせられる一冊。全部は無理だが、半分は取り入れていくつもりですよ、私は。






毎日暑いな! いつも来てくれてありがとう。貴方が押すから順位が上がる。やる気も上がる。

中山美穂 EXOTIQUE





中山美穂 EXOTIQUE
発売日 1986年12月18日
型番 330A50085


01.炎の舞
02.ペニンシュラ・モーニング
03.黄金海岸
04.霧のケープコッド
05.WAKU WAKUさせて
06.スウェーデンの城
07.インカの秘宝
08.熱い夜
09.SWITCH ON(ハートのスイッチを押して)
10.時の流れのように


【アルバム一口メモ】現代ではこの手の音楽はヒットチャートの上位には決して上がってはこないだろう。『WAKU WAKUさせて』で時代を感じて欲しい。


 Twitterで喫煙のことを呟いたので、煙草に関する思い出を書き綴ってみようと思う。喫煙期間は二十年を越える。二十歳の誕生日の翌日から吸い始め(棒読み)(笑)二十年以上。

 今でも『煙が恋しいなぁ』と思うことがある。食後の一服、煙と戯れるひととき、大人になった気になったものだった。

 つぎ込んだお金はどれくらいになるだろう。外車一台買えるくらいの額ではなかろうか。それでも吸っているときは『お金じゃねぇんだ。この憩いのひとときをお金で買っているんだ』と批判する者に対して反発するようにして息巻いていた。

 マイルドセブン、セブンスター、マイルドセブンライト、キャビン(活性炭が独特だった)、キャスター、チェリー、ピース(臭いがキツい)ハイライト(ニコチン、タール高めで咳き込んだ)、ラッキーストライクメンソール、そして最後はケントのメンソールで落ち着いた。

 旅先で一服、ランチの後で一服、格別だった。人生でなくてはならぬ物だ、と思っていた。夜中になくなると狼狽えた。パジャマ姿でコンビニへ走った。

 そんなヘビースモーカーの私も、実は心の中では辞めたかったのだ。しかし半日とて煙の無い生活が耐えられない。中毒なのだ、と思い込んでいた。

 身体に貼るパッチや、糞マズイニコチンガムなどを噛んでも無駄だった。また煙の誘惑に負ける日々だった。辞められないから吸い続ける。辞める方法が分からない。簡単に辞められれば苦労は無い。麻薬患者と一緒なのだ。

 一年くらい悪戦苦闘して最後にたどり着いた本、アレン・カーの『禁煙セラピー』冒頭に『吸いながら読んでもらって結構です』とあったので、私は吸いながら読書した。

 そして読み終わって禁煙に成功した。これには驚いた。私の人生を変えた一冊、と聞かれたら、この本になるだろう。

 煙草が大好きで、でも辞められるはずがない、と思っている人に私は迷わず勧めています。おかげで探偵小説が沢山買えるようになりました。嬉しい副産物でしたね。





いつも来てくれてありがとう。貴方が押すから順位が上がる。やる気も上がる。

岡田有希子 十月の人魚




岡田有希子 十月の人魚
発売日 1985年9月18日
型番 D32A0113


01. Sweet Planet
02. みずうみ
03. 花鳥図
04. 哀しい予感
05. ロンサム・シーズン
06. 流星の高原
07. Bien
08. ペナルティ
09. 十月の人魚
10. 水色プリンセス ~水の精~

【アルバム一口メモ】リアルタイムで活躍を見ていた。本当に可愛かった。プロポーションも飛び抜けて良かったしね。笑顔良し、スタイル良し、歌声も可愛くて良し、の三拍子が揃ったアイドル。自ら命を絶ったことが本当に惜しまれる。



 さて、今回はビートルズの『サージェントペパーズ』の50周年版リミックスが出て、ヘビロテでテンションが上がっているので、取り上げてみたいと思う。

「冒頭にアイドルのCDを揚げておいて、本文でビートルズを紹介するなんて、呉エイジは発狂したのではないか?」と思われるかもしれない。CDを紹介したいのなら一本に絞れ、と。

 しかし冒頭のアイドルジャケは、これまでに何度か説明しているのだが、iTunesが飛んだ時の為の画像バックアップの意味合いを兼ねているのだ。

 なのでタイトルと本文が一致しないのは、そういう理由なのでご了承願いたい。スタイリッシュではないが。






 ビートルズの最高傑作。と言い切ってしまえば『ちょっと待てよ』という声も挙がるだろう。楽曲的には『リボルバー』の方が粒ぞろいであるし『ホワイトアルバム』の熱量や『アビーロード』の洗練された様式美の方が私も優れていると思う。

 しかし敢えてサージェントペパーズをビートルズの最高傑作と言ってしまおう。それはグループとして、いや、ジョンとポールが、がっぷり四つに組んで作り上げた最後のアルバムだと思うからである。

 この後のアルバムは、二人が終わりに向けてそれぞれが才能を爆発させていく軌跡だ。

 まず音はどうだろう。これがまた分解度、解像度が上がって素晴らしいのである。裏話で解説されている、当時のミュージシャンが考えもつかなかった数々の技巧、リンゴのドラムのバスドラ内にタオルを詰めて、低音を強調して音を拾った、など、元々良い音で残されたものが、ミキシングを一旦バラバラにして再構成されているので、埋もれていたニュアンスが臨場感溢れて迫ってくるのである。

 ぜひ奮発して良いヘッドフィンで聴いて頂きたい。これをスピーカーで鳴らすには、そこそこのステレオセットが必要だろう。

 音楽で得られる魂の高揚、創作することの素晴らしさ、クリエイティブすることの格好良さ、を感じることができるのは、このアルバムとビーチボーイズの『ペットサウンド』が双璧だろう。

 私はサラリーマンで日曜作家だが、マックピープルで連載中、行き詰まった時には先ほどの二枚を交互に鳴らし、翌日仕事であるというのに深夜まで執筆していたことを思いだす。

 アルバムはペパー軍曹率いる楽団の演奏ショウという体裁を取る。ビートルズなのに、だ。面白いアイデアにビートルズがノリノリで乗っかったのだ。

 オープニングからの続きで二曲目『ウィズ ア リトル ヘルプ フロム マイ フレンズ』などどうだ。『もしも僕が調子っぱずれで歌ったらどう思う?』ときたもんだ。ちょっとボーカリストには向かないリンゴが、である。聴く者は『天下のビートルズが何言うてますのん』という感じになるだろう。

 しょっぱなから聴く者は『あぁ、ビートルズはお巫山戯で楽団になりきっているのだな』とニヤニヤさせられてしまうのだ。

 そして三曲目のジョン渾身の一曲『ルーシー イン ザ スカイ ウィズ ダイアモンズ』三拍子の変則ロック。LSDの幻覚フラワーパワーを醸し出す、時代を引き寄せた曲だ。同時代のペパー症候群のフォロワーのアルバムを聴いてみるといい。この三拍子の幻想的物まねロックが必ずあるはずだ。出来は足下にも及ばないが。

 続くポールの『ゲッティング ベター』これはベースラインが最高。アルバム全体にポールの歌うようなベースラインが最高のアルバムなのだが、これを機会に皆さんもボーカルを追わず、ベースがどんなメロディで進んでいるのか、注力して聴いてもらいたい。全然違うメロディなのに決まってるやん! と思うことだろう。

 続く二曲もポール。この『フィクシング ア ホール』と『ラブリーリタ』の出来が弱い。ポール何やってるねん。というチョイスだ。もっと良い曲が書けただろう。このお陰で最高傑作と言い切るには不安材料が残る結果になるのだ。

 続いてジョン『ビーイング フォー ザ ベネフィット オブ ミスターカイト』素晴らしい。回転木馬の音楽による再現。ジョンのコンセプトに寄り添う涙ぐましい努力が窺える。見事に自分の役割を果たしている。

 続いてジョージのガチのインド音楽。これも当時は相当斬新な音楽モードであったことだろう。聴いたことのない麻薬的な音の鳴り。同世代のミュージシャンは度肝を抜かれたのではないだろうか。こんな曲が許されるのもサージェント楽団ならでは。

 『ホエン アイム シックスティ フォー』老若男女に分かりやすいね、ポールといった小品。

 『グッド モーニング グッド モーニング』このリミックスアルバムのベストトラック。バスドラの度に鳥肌が来た。ぜひヘッドフォンの大音量で私の衝撃を追体験して頂きたい。

 そしてフィナーレまで。ジョンとポールの最後の豊かで密な時間。

 このアルバムを聴くと、ポールのペパー楽団というアイデアに一番良く理解し、楽曲に反映させているのはジョンだということが分かる。言い出しっぺのポールは『散漫やんけ!』という印象だ。

 クリエイター同士は、人生の一瞬、面白い物、やりたいことがクロスオーバーする瞬間がある。ビートルズの場合、ここがピークであったのだろう。これから後はお互いが『作りたいものも好みもこんなに違っていたのか?』ということに気付いてしまい(そもそもクリエイターは最初からそうなのだが)解散に向かっていく。

 相手が違いすぎることを見ぬ振りをしたり、理解して互いの色を侵食しなければ、仲違いもせず存続できただろう。

 この後ジョンは『イエスタディだけの男』とポールを批判する。可愛さ余って憎さ百倍なのだろうか。なんで? とクビをかしげるポールは『僕はハローと言うのに君はグッバイという』という切ない絶品『ハローグッバイ』という名曲を作る。

 優れたクリエイターが『一つの素晴らしい芸術作品を作る』という美しさが伝わる歴史的名盤である。






いつも来てくれてありがとう。貴方が押すから順位が上がる。やる気も上がる。

立花理佐 ゴールデン☆ベスト





立花理佐 ゴールデン☆ベスト
発売日 2013年11月27日
型番 TOCT10909


01. 疑問
02. 月曜日に雨は降らない
03. 大人はわかってくれない
04. 瞳に天気雨
05. キミはどんとくらい
06. 17%のKISS
07. サヨナラを言わせないで
08. クレヨン’S HILLへつれてって
09. 刹那主義
10. 内気なガール・ハント
11. リサの妖精伝説 -FAIRY TALE-
12. リサの妖精伝説 -BE-BOP HIGHSCHOOL-
13. 最高の一日 ~One Day~
14. 半分恋人
15. スロー・ダンスは踊らない
16. 恋より近くに
17. 愛が待ちきれない


【アルバム一口メモ】立花理佐の歩みを知ることができるベスト盤。中山美穂に近い『少しツッパリ』なイメージで売り出そうとしたデビュー期から、少しアイドルポップに近付いた『キミはどんとくらい』が一番知られている曲だろうか。私はレトロゲーファンなので、ファミコンのディスクシステムのゲーム『リサの妖精伝説』がなんといってもベストトラックである。


 さて、最近はですね、ちょっと早い夏バテと闘いながら、次のKindle本の準備をしておる次第であります。出来れば九月、秋頃には一冊出せればな、と思っております。

 Kindle様のお陰で小銭が入って参りまして、吸収のための書籍代とさせて頂いております。そしてこの『だめなやつら』のCDや本のアマゾンリンクも、知らぬ間に軌道に乗っておったようで、先日びっくりするくらいの(予想を超えた)収入がありました。

 皆さんが義理堅く、ここのリンクを通過して本やCD等を買ってくださったお陰であります。やはり人生、面白い作品は『読まねば』なりませんし『紹介せねば』なりません。

 ここで本日ご紹介する本です。戸川昌子の『火の接吻』です。





 もしかしたら、今年読むミステリーの一位になるかもしれません。暫定一位です。ちょっと凄い物を読んでしまった…、というのが正直な感想です。結城昌治の『公園には誰もいない』が暫定一位でしたが、ひっくり返しましたね。

 女流作家を一段低く見ているつもりはないのですが、全体を通して鬼気迫る積み重ね芸を達成しており、粘着的に執着的に、何度も事件の様相がひっくり返っていきます。

 そうして読了後『あぁ、この真相しかないだろうな、思えば何度もヒントは目の前でチラついていたな』と、大きな溜息とともに思い返されるのでした。

 事件自体はシンプルなのです。三人の子供が五歳の時、マッチで火遊びをしていて、その火が屋敷に燃え移り、少年の父親が焼死した。というもので、物語は26年後、その三人が消防士、刑事、保険会社の御曹司、となって奇妙な運命の糸に引かれていく。というものです。

 物理トリックが、アリバイが、という類いで頭をひねる話ではなく、よくもまぁこんなシンプルな題材でここまでひねくり回した作品を構築できるな、と感嘆すること請け合い。読み終えるまでに事件の全体像を予測できる読者は、ほとんどいないでしょう。実際、私は本当の黒幕が誰なのか、全く予想が出来ませんでした。

 そうして何よりも考えさせられたのは、男は何歳になっても子供心を失わず、ウブで、愛という幻想を信じてみたい、と思う生き物で、女を冷酷なまでに『打算的な生き物』として描いているところです。

 それぞれの人物の視点で章が展開し、エピローグでは新聞記事の切り抜きで呆気なくその後、の報告があるのですが『悪』に生きようとした者に強烈な肘鉄を食らわせています(大金を取り損ねた)しかし、その記事のすぐ横で、またしぶとく打算的に生きる報告がなされ『知らない』ということは幸せなのか不幸なのか、みたいなことも考えさせられます。そうして男の描く『ハッピーエンド』みたいな突き抜けではなく、人生の皮肉や運命でギリギリ悪に鉄槌を下ろすのも女流作家ならではだと思いますね。

 何を言っているのか伝わりませんね、読了後にまたお越しくだされば『なるほどな』といったコメントだと思っています。

 しかし、これは私のタイプでしたね。クリスティ的、といいますか、結局私はトリックやアリバイよりも、何が起こっているのか、この違和感は何なのか、終盤に払拭されるのだろうか、とか、探偵が疑問や推測を犯人に向かって投げかける時の、暴く者と暴かれたくない者の心理の駆け引きがたまらなくドキドキして好きなのだな、ということに改めて気付かされた一冊だったのです。

 そうしてこれは、私が嫁さんに怒られるリアルな日常、私の秘密の買い物や小細工をすぐ見抜き、ネチネチと畳みかけて罪を暴く、ウチの鬼嫁との日々に近いから、こういう作品が好きなのかな、という自己分析をしてみたりとか…。

 あんまりこういう身もふたもない紹介の仕方は芸が無いですが『死ぬまでに読みたいミステリーの一冊』と言ってしまっていいでしょう。



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