松田聖子 SEIKO



松田聖子 SEIKO
発売日 1990年6月7日
型番 CSCL1090

01. オール・ザ・ウェイ・トゥ・ヘヴン
02. ヒーズ・ソー・グッド・トゥ・ミー
03. リーヴ・イット・アップ・トゥ・フェイト
04. ザ・ライト・コンビネイション
05. グッドバイ・マイ・ベイビー
06. フーズ・ザット・ボーイ
07. ウィズ・ユア・ラヴ
08. エヴリバディ・フィールズ・オールライト
09. ハーフウェイ・トゥ・ヘヴン
10. トライ・ゲッティン・オーヴァー・ユー

昨日のことだ。大阪城ホールにて開催された松田聖子2014「ドリーム&ファンタジーツアー」へ、幼なじみの漫画家、金平と二人して連れ立って行ってきたのである。

デビュー35周年記念ライブと銘打たれているからだろうか、会場には同年代のドレスアップした女性の波、波、波。

私にとっては永遠のアイドルなのだが、同世代の四十、五十の女性にとっては「美のカリスマ」という側面も持っているのだろう。奇麗に着飾って、若さを保った、まぁ中にはかなり無理しているひともいたが(笑)それでもチラホラパッと見、二十代後半にも見える四十代の女性の姿もあり、影響力の強さがこちらにまで伝わってきた。

松田聖子に出会ったのはその金平の家でのことだった。金平の兄ちゃんというのがこれまたビーバップハイスクールがそのままコマから出てきたような生粋のヤンキーであり、その兄ちゃんが親衛隊として当時の聖子ちゃんのライブへ通っていた流れで、自然と遊びに行けば隣の部屋からBGMとしていつも流れていたのが松田聖子のアルバムであった。

「風立ちぬ、はエエ音しとる」がお兄ちゃんの感想であった。

アイドルとしては当時は河合奈保子の巨乳の方が好きで、憧れる対象ではなかったのだが、なんせ曲が良かったので音楽性に惹かれてのめり込んでいった口だった。

そして聴けば聴くほど絡み付くクモの糸のように、ハマって逃れられなくなっていく、超音波のように男心をくすぐる甘い声。多分、同性から出たやっかみであろう。それは「ブリッコ」と名付けられた。

そういうバッシングも関係なく、中学、高校と金平と家で漫画を描く時には、いつもBGMとして流れていた。

長年慣れ親しんできたその「生、松田聖子」である。

人生のTO DOとして相棒の金平と掲げている目標がある。佐野元春のライブに行く(クリアー)松田聖子のライブに行く(昨日クリアー)浜田省吾のライブに行く(未逹)四国一周ブックオフ巡り(未逹、2015年に行けるよう貯金中)九州一周ブックオフ巡り(完全に未定)

その二つ目のクリアーである。

思えばもう四十五になってしまった。最近よく思うのは、そんなに人生は長いもんじゃない、ということだ。気持ちはいつまでも十六くらいのままなのだが、冷静になって考えれば、あと二十年、保たずにポックリと逝ってしまうかもしれない。

時間は永遠にある、という思いは自分の中からは無くなってしまった。残った時間でどれだけ好きなことができるか、どれだけの作品を残せるか(どうも我が妻との闘争、六巻は出せそうにない雲行きだ)

ということを最近よく考えるようになった。

ライブ中は、そんな雑念が入り込む余地もなく、大いに盛り上がったライブとなった。大スターの貫禄さえ見えた。よく声もケアされており、往年の名曲が違和感なく再現されていた。

また行きたい、と思わせる内容であった。

東京へ締め切りのためにトンボ返りする金平と、ビアホールで祝杯。

「おまえ、毎月よく頑張ってるな、落とさずに、アシスタントも使わずに」

「はは、アシスタントなんか俺の身分で使ったら、利益残るかいや。給料に、食事に、交通費に…」

「ええっ?! アシスタントに交通費? そこまで色々としてやるのか? 勉強させてもらってます、みたいな向こうの謙虚な気持ちは無いんか?」

「んなアホな。弟子制度やあるまいし。最近はそこまでやらんと集まらんよ」

「それでも昔ほど本が売れなくなった」

「確かに売れなくなった。80年代を通過してきたワシらには特にそう感じるよな。そうそう、我が妻来月号で最終回か、よう頑張ったな。十五年か? サラリーマンしながら大したもんやな、来月お疲れ会開こうや」

「サンキューサンキュー。持つべきものは古き友、やな(笑)」

「どないすんねん?」

「どないもこないも、誌面のリニューアルやからお役御免や。普通のオッサンに戻るだけや」

「会社人間に集中するんか?」

「いや、やっぱりサラリーマンしながらの毎月の締め切りは、コンディションの悪い時はホンマ苦しかったんや。だから少し休んで、今書きかけの長編小説を完成させて変名で応募すること、かな」

「呉エイジは封印するんか?」

「いや、まっさらになって力試ししてみたいんや。通れば何がしかの力があったんやろうし、落選したら本出せてたのは「まぐれ」やった、というのが骨身に沁みて本格的に文章と向き合えるやろ? で変名やから恥ずかしくないやん(笑)」

「そうか、それにしても旨いビールやな」

「旨い、酒飲まん俺でも分かる。ドイツの直輸入の樽ビールか。たまにはええな、こんなのも。一杯八百円か」

「サラリーマンしながら大変やろうけど、とにかく書きかけのやつ、なんとしても完成させろ」

「口回りのヒゲに三割白髪が混じっとるオッサンに言われたくないわ」

「もういっそ全部白髪になってほしいんやけどな、宮崎駿みたいになって貫禄でるやろ? ていうか、人のこと言えるかいや。オマエ自分だけ十代の気分で話かけてきてるけど、オマエも年相応に老けたぞ(笑)」

「そうか、まぁ互いに元気でおろう」

「乾杯」

チン、とグラスの音が鳴った。


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松田聖子 ウインターテイルズ



松田聖子 ウインターテイルズ
発売日 1996年11月1日
型番 SRCL3704

01.パール・ホワイト・イヴ
02.トゥギャザー・フォー・クリスマス
03.ハートのイアリング
04.凍った息
05.デッセンバー・モーニング
06.愛されたいの
07.ブルー・クリスマス
08.雪のファンタジー
09.恋人がサンタクロース
10.二人だけのクリスマス
11.きっと、また逢える…
12.外は白い雪
13.抱いて…

「わしらのまんが道」第36話 賭けるということ

(バックにはホールド ユア ラスト チャンス)

漫画家を目指して姫路から大都会東京へ飛び出した金平と呉。四畳半ひと間のアパート「トキヴァ荘」を根城に、せっせと原稿を描く日々。金平の方はチラホラと読み切りの仕事が決まっていったが、呉の方はサッパリ振るわず金平に依存して生活する日々が続いていた (※ナレーション 森本アストラ)

徹夜明けの金平、1ページ一万五千円の読み切り4ページが仕上がり、そのまま編集部へ持ち込んだら担当が気を利かせて、とっぱらいの現ナマ、税引き5万4千円を手にしてホクホク顔。呉に旨いものを食わせてやろう、とすき焼きの材料を買い込んでトキヴァ荘を目指していた。

アパートの前でイライラと下から部屋の様子を伺っている中年男性。見た目は中尾彬にそっくりである。チキンな金平は風貌だけでビビっていた。

「あー、君。このアパートに住む呉エイジという漫画家を知っているかね?」

「ええっ? は、はい。知っていますけど、どういったご用件で?」

中年は怒りを顔を出しながら話し始めた。

要約すればこういうことであった。半年前、本屋でばったり呉エイジと出会ったこの中年男性は、会社を経営する敏腕社長で、投資にも辣腕をふるっていた。

話せば呉エイジに何かしら光るものを感じ、境遇を聞けば資金難で最速のパソコンと漫画制作ソフトとペンタブレットさえあれば、傑作を物にして一躍世の中に躍り出る自信がある。と熱く語って見せた。

その熱意に社長は打たれた。

しかし社長は見抜けなかった。その気にさせるのが呉エイジの得意技である。ということを。地味で何もやりそうにない金平の方が、コツコツと地道と作品を仕上げていき、結局成果を残せていることまでは見抜けなかった。

「そ、それで社長さんは呉に投資されたのですか?」

「そうだ。半年前に30万円託した。今日本屋に寄ったが呉エイジのくの字も出ていない。ワシは気の短い男なのだ。今日は様子を見に来た」

「そういうことでしたら上にどうぞ。実は私の同居人です」

なんだ、という風にジロリと睨みを効かせ階段を上っていく。はて? 呉の持ち物で最近パソコンやタブレットが増えていただろうか? 毎日一緒に四畳半の部屋で寝起きしているが、そんなものどこにもなかった。

金平は中年男の背中越しに部屋の扉を見入った。

足でバイオハザードのように扉を蹴り開ける中尾彬。

そこにはジーパンを膝まで下ろし、オナニーの真っ最中であった呉エイジの姿があった。こちらと目が合うと、テイッシュを抜いては股間に抜いては股間に、と。イチモツを隠すのに必死であった。

「貴様、昼間から漫画も描かずに何をしている!」

折りたたんだ足に生える剛毛な足毛が痛々しい。

「この部屋で貴様に30万投資したはずだ。ワシは金は手に入れた。あとは社会的名声が欲しかった」

中年男は目を細めて空想モードに入った。

「ということはですね、大ヒット漫画家、呉エイジが貧乏な時に手を差し伸べたのが社長ということだったんですか?」

インタビュアーがマイクを向ける。

「そうです。私は若い力が貧しさで芽が出ないまま枯れるのが、特にこの大東京では日常茶飯事なのですが、どうしても惜しかった。彼には光るものを感じていたのです」

「社長のおかげでベストセラーが出せました。社長がいなければ…」

泣きながらカメラの前で抱擁を交わす二人。

「なんという現代の美談!」

薄めた目が徐々に見開かれる。視界にはオナニー途中の呉エイジ。棚にはこの前に来た時にはなかった、エロDVDが溢れんばかりに増えている。

「き、貴様、この前この棚はカラッポだったではないか。もしやワシの投資金で買い漁ったのか? 飛び出す潮吹き若奥様。3Dメガネ同梱版…。場面と連動、電動オナホール同梱、寝ているだけ! マグロ大使…」

呉エイジは恥ずかしそうに目を伏せた。

「バカモン!」

中年男の拳が容赦なく顔面を捉えた。振り切った顔から飛び散る鼻血。

「こんなもんのために、こんなもんのために30万を、この人間のクズがっ、カスがあぁっ!」

中年男は馬乗りになり、執拗に殴り続けた。両鼻から血が、口も歯が折れたのか、血が溢れ出ていた。

「そうやって人の期待を平気で裏切れる畜生め」

男は足で呉エイジの顔をにじりながら踏みつける。

「これぐらいでは済まさんぞ」

男は逃げようとする呉エイジのあらわになった尻にジッポーライターで火をつけた。

「このペテン師め、詐欺師め、底辺人間め」

呉エイジはグッタリとして動かなくなってしまった。我に変える中年男性。

「き、君はこんな虫ケラと親友なのか? 見たところ君に依存して生きている感じだな。全部吸い尽くされる前に逃げた方が、いや捨てた方がいい、と忠告しておこう。では失敬」

男は振り返りもせず立ち去っていった。

震えながら血まみれの顔で起き上がろうとする呉。

「だ、大丈夫か?」

「さ、最低だよな…」

「そうだよ、30万も…」

「あの、オッサン」

「フアッ!???」

「いいか、金平。己の力で、自らの足で立ち上がろうともせず、赤の他人に期待して社会的名声を得ようとするなんざ愚の骨頂。人間のクズの部類だよ。ロクな人間じゃない。薄汚れた生き物さ」

「で、でもおまえ、このエロDVD…」

「これは創作力をマックスまで高める原動力で、資料と同一だ。抜くことによってスッキリし創作に没頭する。これを視聴せねば、どんな感じで若奥様の3D潮吹きが飛びかかってくるのだろう。俺はよけきれるだろうか? と気になって筆が進まなかったことだろうよ」

「…」

「あのチンカスから勝手に託された30万の残りがあと二万…。金平、今からこれでステーキ食いにいこうぜ!」

鼻血でジーパンまで赤く染めた呉エイジがふらつきながら立ち上がる。

夕暮れにそまるトキヴァ荘を見ながら焼肉屋へと向かう二人。

「(呉…、抜いてスッキリして創作に没頭するて、お前いつも抜いたらクタクタになって早寝してるやん!)」

呉エイジが漫画ではなく文章の方で世の中に出るのは、まだ数年先のことであった(ナレーション 森本アストラ)



いつも来てくれてありがとう。ぜひ上の白いボタンをぜひ押してくれよ。2014年もだめなやつらをよろしくお願いいたします!

松田聖子 あの輝いた季節



松田聖子 あの輝いた季節
発売日 2008年10月22日
型番 SRCL6902-3

01. あの輝いた季節
02. いつまでもこの胸の中に
03. あの輝いた季節(Backing Track)
04. いつまでもこの胸の中に(Backing Track)

拙著「我が妻との闘争」の電子書籍版の発売記念なのであります。2013年9月26日にブックウォーカーさんで先行発売されました既刊の四冊と最新刊である五巻。私の端末にもダウンロードできましたので、確かに流通しているみたいです。

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今後何回かに分けて宣伝を兼ねた駄文をつらつらと、書き残して参りたいと思います。

とりあえず毎度おなじみの、だめなやつらドライブ中継を添付いたしまして





四年ぶりの単行本ということで、シリーズもおかげさまをもちまして五冊目に突入いたしました。全軍突入でありますかっ、全員死ねと申されますかっ、曹長!

曹長って誰やねん!(できれば、あおい輝彦辺りを希望) というツッコミの前に、こういう発作的な文章はやめなさい、と。もっとポピュラリティーのある、わかりやすい、拒絶反応を起こされにくい文章を目指していかんかい、と。

蛭子先生渾身の書下ろしの表紙はパープル。既刊の四冊もカラフルな表紙に変わりまして、今巷で話題の、iPhone5cを思わせるカラフルさでございます。

ドライブトークのビデオ内で、相棒の金平と、幾分対立した格好になりましたが、お互い世に出た出自といいましょうか、彼は「持ち込み」やら「投稿」というヒューマンパワー、私はウエブから飛び出して書籍までたどり着いた、という成り立ちがありますので、彼の言うところの、書店における出版社さんの営業の努力、ポップとかポスターというものですね、そういう物が、やはり最後に物を言う。というスタンスでした。

逆に私は、今後タブレットが更に普及し、電子書籍を購入する。という層は、確実に広がっていくと思います。

キザな言い方に聞こえるかもしれませんが、やはり「ウエブの力を信じている」のであります。

ウエブから、何もない所から、私は飛び立って書籍まで辿りついたのですから。

一般的な主婦、忙しいサラリーマンの皆さんが、月にどれくらいの時間、本屋に使うか、ですよ。私なんぞは本屋が大好きですから、買わなくとも週に2、3回は会社帰りに足を運び、新刊書のコーナーをブラブラします。

そんな私は「ヘビー級」な部類でしょう。

そうなると月間、一般的な方々が本屋にいる時間と、ツイッターやフェイスブックをチェックしている月の時間と、どっちが長い? ということになってきます。

SNSに浸っている時間の方が多いでしょう。そうなると、そこで話題に出たり、情報が拡散されることによって、例え本屋で平積みされなくとも、ポップを作ってもらわなくても、充分、本屋へ滅多に行かない方々にアピールするチャンスがある。

と、こう思うわけですね。

ただ、全くのPC初心者、タブレット初心者には、まだまだ敷居は高いかなー、と思います。

クレジットカードを用意したり、コンビニへ行ってプリペイドカードを買ってコードを入力したり、原始人のようなウチの嫁に「電子書籍を自力で買ってみぃ」と頼んでも、多分簡単に買えないと思うわけです。無理だろなー、と。

それでも月々ひーひー言いながら書き続けている連載が、埋もれることなく、こうして纏まった形で世に出せる。という事は、やはり感無量でございますよ。

皆様にはぜひ、コンプリートして、タブレット端末の本棚へ、綺麗に並べて頂きたい。

せっかくなので、裏話的なことも少々。

もう退会してしまったので、手を加えることが出来ないのだが、117ネットさんの無言の好意で、何故か消されずに残してもらえている私の昔のホームページ。

そこで我が妻成り立ちのエピソードを書いたことがあるのだが、無職のクセに部屋にこもって物作りに没頭していた時のことである。

巻数でいえば1巻から2巻の半分くらいまで。

人を構成する細胞は七年で入れ替わるとか? そうなると、1巻を書いていた人は、もう別人と呼んでもいいだろう。

その頃の呉エイジは、うっすらと思い出せば「自分は天才である」と思い込んで、打ち込んでいたように思う。

無鉄砲で恐ろしい話である。

働きもせず親に借金をする結果にまでなったのに、嫁が昼、パートに出ている時、私は自分の部屋に籠って、天才のつもりで文章を書いていたのだ。

勘違いの力というのか、何かが憑依していたのか、気分的にも無敵モードであった。

ホームページは一日で五千から八千ビューを記録していた。あのまま毎日続けていたら、政界に進出できたかもしれない(笑)

一皮むけて、もう一度好き勝手に文章を書いてみたい。と思い立って、この「だめなやつら」を立ち上げた。

若かった頃より経験も積んだ。全力でやってみっか! とばかりに、過去の自分を打ち負かしてみよう、と連日更新してみた時期があった。

それでも最高一日に千ビューしか達せず、呆気なく天才を盲信していた頃の自分に敗北を喫する結果となった。

物作りしている人は、何かの参考にしてほしい。盲信や過信は決して恥ずかしいことではない。と。

没頭したトランス状態というものは、シラフでは考えられない力を発揮する。「暴走してしまうのではないか?」という心配は「無用だ」と付け加えておこう。

自分が天才だ! と思い込んで打ち込んでいても、無意識下ではこれまでに吸収した知識などで、バランス感覚は自然と、とれているものだ、と。

今回はこのへんで、つづく。


いつも来てくれてありがとう。ぜひ上の白いボタンをぜひ押してくれよ。よかったら電子書籍、買って読んでみてね!

松田聖子 Was It The Future



松田聖子 Was It The Future
発売日 1996年6月10日
型番 31454 0480 2

01. レッツ・トーク・アバウト・イット
02. ユア・プレシャス・ラヴ
03. グッド・フォー・ユー
04. ミッシング・ザ・ビート
05. ワズ・イット・ザ・フューチャー
06. ショウ・ミー・ハウ・イット・フィールズ
07. アイ・キャント・ビリーヴ・マイ・アイズ
08. ファースト・タイム
09. イッツ・トゥー・レイト
10. ア・リトル・モア・タイム
11. レッツ・トーク・アバウト・イット(ヒップ・ホップ・ミックス)
12. アイル・ビー・ゼア・フォー・ユー

まだ外が暗いうちに管制室に入った。土砂降りの真夜中、緊急の呼び出しで車を飛ばした。足元はずぶ濡れだ。

目の前には200インチの液晶モニター。画面の左下からは、怒った顔をしたデザインが施された台風が徐々に日本へと近付いてきている。

外の狂ったような雨は台風の影響であった。

「さて、どうする? 呉気象部長」

上司がカップをテーブルの上に置く。煎れたての暖かいコーヒーの湯気が部屋を包みこむ。腕組みをしたまま小一時間、まだ決断は下せずにいた。

「そろそろ六時だ。大雨洪水警報を出すのか、出さないのか、どうするのかね、呉気象部長」

目の前には大きな赤色のボタンが備え付けられている。ボタンの下にはテプラで「間違って押さないでね」と注意書きが貼られている。

これを押せば「大雨洪水警報」が発令される。決定権は私にあった。

「(慎重に事を運ばねば…)」

今は大雨でも、通学時間が来れば嘘のように晴れた。という事は今までに何度もあった。逆も然り、発令を読み間違えて出さず、暴風雨の中、学生たちを通学させてしまったこともある。

天気を相手に、的確な判断など確実に下せるわけがない。神じゃあるまいし。

前に「PTA会長」と名乗るキチママが、この管制室へ殴り込んできたことがあった。

「どう責任を取るざます。すっかり晴れたのに警報で休ませて。学力の低下は深刻な社会問題ざます」

枯れ枝を思わせる魔女のような指には悪趣味な無数のジュエリー。憎々しげに私を指差す。片足を机に乗せる。短いスカートからは丸見えのパンティー。五十代女性の手入れを数年放置した剛毛が、衣類と肌の隙間から春先のつくしのように元気よく覗く。

必死に嗚咽を堪える。一体誰得よこのビジュアル。何のありがたみもありゃしない。

涙ながらの不本意な土下座。

あの時の屈辱は出来れば二度と味わいたくはない。

「(子供の学力の低下を招くのなら、安易に警報を発令すべきではないな、なぁに、俺が学生の頃なんか台風でもカッパを着て自転車を漕いだもんだ。少々の雨風くらい通学出来るはずだ)」

腹は決まった。警報は見送る。

それから一時間、外の天気はますます雨風が激しくなっていった。

ボタンを押すべきだったか…。後悔しかけた時にドアを蹴破って押し入ってくるPTA会長。

「貴方が警報を出さなかったおかげで、私のミノルちゃんが雨の中自転車で転倒したざます。どう責任を取るざますか」

凄まじい剣幕。取り付く島は…、上司に目をやる。「(責任者はオマエだろ? ワシは関係ないもんね)」のジェスチャー。あぁ無情。

怒りに打ち震え、上司に歩み寄る。

「明日もし晴れたら、そのときは三倍返しだ」

「言ってることの意味が全く分からない」

いつまでもヒステリックに叫び続けるPTA会長。発狂しそうだ。天候だぞ? なんで一人の人間が責任を取れるのだ。警報を出せば学力の低下、警報を出さなければ雨の中で転倒。どちらにころんでも矢のようなバッシング。

頭の毛を搔き毟る。気がつけば私は大声で叫んでいた。視界が薄くなっていく。光の中に包まれていく…。

視界が徐々に戻る。商店街で叫び声を上げる無数の通行人、全員が道をあける。ここはどこだ? 俺は一体どこを走っているのだ?

首を横に向ける。ガラスのショーウィンドウには全裸で商店街を走る男が映っている。

お、俺か? これは俺なのか?

思考も視界もぼやけていく。レンズのピンボケのように。そうして俺は、再び光の中へと包まれていった。


いつも来てくれてありがとう。更新の原動力なんだ。ぜひ上の白いボタンをぜひ押してくれよ。何事も決断って難しい。

松田聖子 SOUND OF MY HEART



松田聖子 SOUND OF MY HEART
発売日 1985年8月15日
型番 32DH-266

01.DANCING SHOES
02.LOVE IS NEVER OVER
03.IMAGINATION
04.A FRIEND LIKE YOU
05.TOUCH ME
06.SUPERNATURAL 
07.CRAZY ME, CRAZY FOR YOU 
08.SOUND OF MY HEART 
09.MIRACLES TAKE A LITTLE LONGER
10.TRY GETTIN' OVER YOU

 尻や

   ぁ桃尻や

       尻や

今更何の説明もいらんであろう。蛇足もここに極まれり、ではあるが、あえて説明するならば、人は桃尻を前にすれば、感嘆するしかない。という事を詠った句である。

有名な俳人の未発表の句であるらしい。もとい変換ミスであった。「廃人」であった。

私とて「桃尻になんの興味も御座いませんよ」みたいなカッコつけは、気取る方に罪悪感を感じる。

ここは一発素直になりたい。公演で幼児を遊ばせているお母さんが、ジーパンで砂場付近に座っているのはいいが、シャツもせり上がって黒いTバックがこんにちはしている時には、素直に「ありがとう」と心の中で唱えながら手を合わせたい。

桃尻は人を無力にさせる。

ジョンレノンも平和ソングの一環としてテーマに桃尻を取り上げれば、作品の幅も広がったことであろう。早い死が本当に惜しまれる。

それでも日頃の不摂生や手抜きから生じる、いわゆる「ニセ桃尻」に関しては、私は真剣に怒りを表明する。

遠くから見て「あぁ、なんて桃尻なのだろう。綺麗に色が分かれている」と、ウットリ眺めながら近付いてみれば、それはケツに浮き出た大量の吹き出物が、紫色になって色が分離しているだけのことであり、それはもう完全にニセ桃尻なのである。

羊頭を掲げて狗肉を売る。

これは怒り心頭、怒髪天である。桃尻だと思って近寄ってみればニキビだらけのケツで「アロハオエー」と言いながら振り返った顔が超ブサイクならば、そこに小さな殺意も芽生えるかもしれない。

しかしその怒りこそが私の限界を露呈してしまってはいないか。それをも含め愛していく。

小さい、まだまだ人間が小さい。煩悩だらけではないか。振り切れ。歩いて振り切れ。

ワンツー、ワンツー!

大きく声を出しながら手を振って、その声がまた水前寺清子にクリソツだったので自分で爆笑。

そうして大股であるきながら路地を曲がるたびに、先に首を進行方向に動かして、後から身体がついてくる「ロボコップ歩き」が様になっているものであるから、これも自分で爆笑。

どこまで歩くのだ。

ワンツー、ワンツー!

近所の犬がマジギレしながら吠える。番犬としての任を果たしている。友達になれそうにないくらいの怖さで吠えている。

ありゃ手を出せば噛むな。

あの有名な「ナウシカ方式」で友達になるか。一旦噛ませておいて「大丈夫、大丈夫」といいながら我慢して、噛んだ方も反省して傷口ぺロペーロ(※ゲロゲーロの音程で)してくれるやつ。

恐る恐る手を出す。猛烈に歯茎を見せながら吠えている。

やっぱ無理。まだまだ俺チキン野郎。

一体どこまで歩くのだ。幸せは歩いてこっちにこないらしい。だからこちらから幸せまで歩いて行くのだよーん。


今日も来てくれてありがとう。一位になりたいからぜひ上の白いボタンを押してくれよ。会社の同僚に洗脳されて、桃尻が気になって仕方がないよ。
渾身の最新単行本
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Author:呉エイジ
マックピープルの巻末に毎月こっそり「我が妻との闘争」を連載しておりました。電子書籍1巻から5巻、絶賛発売中!

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