伊藤かずえ 月光淑女団

月光淑女団

伊藤かずえ 月光淑女団
発売日 1996年8月21日
型番 33C31-7585

1.17歳のテロル
2.片手のレジスタンス
3.BLEND YOU!!
4.絶対零度
5.チャイナタウン・ローズ
6.奇跡に抱かれなさい
7.未来の記憶
8.イマージェンシー
9.好奇心革命
10.メタモルフォーゼ

時は幕末、かの西郷隆盛を評した、坂本竜馬いわく

「われ、はじめて西郷を見る。その人物、茫漠としてとらえどころなし。ちょうど大鐘のごとし。小さく叩けば小さく鳴り。大きく叩けば大きく鳴る」

これを聞いた師である勝海舟は「評価する者が第一級の人物なら、評価される者も第一級の人物だ」と感心し、自身の日記に書き残したという。

それに習い私も誰かを評するとすれば、真っ先に思い浮かぶのは当然、幼馴染の漫画家、金平守人である。

「呉殿、金平先生とは、いかような人物であろうや」

「そうですな。鐘に喩えるならば、小さく叩けば何言うてるか聞こえへんし、大きく叩けばショックで割れてしまいました

ただのポンコツやんけ!

 そのポンコツの全力単行本(笑)

という評が満場一致で可決されるのだが、きゃつとは小学校以来様々な体験を共有してきた。

小6の頃、ファミコン発売、ゲームに熱狂。中学でアニメ映画やスターウォーズと出会う。そしてチン毛も生え揃い、そろそろ異性への興味が湧き出す頃。そう、悶々とする季節である。

とかく童貞は悶々としがちであり、妄想する生き物である。セッ●スとは、いかようなものなのか? どれほどまでに気持ちの良いものなのであろうか?

童貞寺子屋には悶々志士が集う。講師は大人びたアキラである。勿論童貞だ。

「おまえら、イザというときに困らないように、こうやってベットにクッションを二つ置いてやる。今からパンツ脱いで実演や。この間に挟んで動く感じなんや」

講師アキラの無茶ブリ。

皆、恐る恐るパンツを脱ぎ「こ、こうかなぁ?」と言いながら腰を動かす。「そこで円を描く!」童貞アキラの叱咤激励。

しかしこれでは幕末志士の学問で言うところの「朱子学」である。理論優先だ。この講義に限界を感じた私と金平は「陽明学」に辿り着く。

陽明学の教えに「知行合一(ちこうごういつ)」がある。恥垢ではない。それには散々悩まされておるわ。

要するに、だ。いくら理論で武装し、理解した気になっていても、それは本当に知る、とは言えんよ、と。大量のエロ本やビデオを観て、自分を脳内テクニシャンまで高めた! と自負しておっても、そういう奴に限って本番5秒で果てるもんじゃ。

実際に体験してからこそ「知る」ということになるのだ。そこで技も研ぎ澄まされていく。という実践重視の教えである。

河井継之助しかり、大塩平八郎しかり。

おぉ、この展開はおもしろそうではないか。晩年までに「エロく覚える陽明学」を書いてやる!

ということでアキラの元から脱藩した我々は、月光淑女団という大層な名前こそつけなかったが、独自の道を歩みはじめる。

呉「まず、その行為が主にどこで行われているのかを知る必要がある。本やビデオではなく」

金平「というと?」

呉「ホレ、近所に潰れて廃墟になってるラブホテルがあったろう」

金平「あぁ、あった。入り口封鎖して完全に潰れてたなぁ」

呉「そこに潜入して、その行為の場を肌で感じてみようと思う」

ルパン・ザ・サードッ! 脳内で高らかな伴奏を鳴り響かせ、二人は壁を乗り越えてラブホテルに侵入する。

潰れて三年は経過しているだろうか、建物には物哀しい雰囲気が漂っていた。裏手に回って非常口のドアノブを回すと、意外にも簡単に開いた。

窓ガラスを割って侵入する気満々であったのだが。

通路は当然、通電しておらぬので真っ暗闇、廊下にはたくさんのドアが並ぶ。この各部屋にいやらしい空間があるのだな。

この通路を今まで何人のいやらしい男女が通ったことだろう。私の股間にある攘夷の急先鋒は、怒りで熱く煮えたぎっていた。

呉「こ、この部屋に入ってみよう」

金平「いよいよだな」

豪華なダブルベット、と多少荒れた部屋。廃墟にしては綺麗な部類である。ここで大人の営みが行われているのだな。

それは本では知ることのできない、実地での体験と経験である。

呉「この窓際で、きっとシャワーを浴びた後全裸で立ち、腰に手を当ててポーズを取り、女性が風呂から上がるのを待つのであろう」

金平「そしてこのベットでとんでもないポーズを…」

ガダン!

物音がする?! ここは廃墟ではないか。まさかの怪談? 二人は目を合わせ恐怖で立ちすくむ。

足音らしき物音が、だんだんこちらへと近づいてくる。

慌てて廊下に飛び出ると、20メートル先の廊下から、あれはカマか? 武器を振り上げたオッサンが、物凄い怒りの表情で突進してくる。

「ワシの家に何勝手に入ってきよんじゃーっ! クソガキどもーっ」

そこからは無我夢中で逃げ出した。私は一目散に外の壁を目指し上からダイブ。そのまま横の田んぼに転げ落ちて服はドロだらけ。逃げ遅れた金平は正面の封鎖のバリケードを「痛い痛い」と言いながらまたいで、全力で逃げた。

潰れたと思っていたのに、実は経営者がそこを家にしていたのだ。

独立を果たしたはずの探検団は、その日で解散となった。。。


廃墟写真集とか結構好き。に一票!
渾身の最新単行本
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マックピープルの巻末に毎月こっそり「我が妻との闘争」を連載しておりました。電子書籍1巻から5巻、絶賛発売中!

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