浅香唯 STAY




浅香唯 STAY
発売日 1992年2月26日
型番 HBCL-8009


01.Stay with me
02.友情
03.愛しい人と眠りたい
04.WORKING GIRL
05.休日、ひだまりのキッチンで
06.友達に戻ろう
07.あなたを忘れない
08.ルカ
09.黒い鳥
10.Rhythm of Universe


【アルバム一口メモ】アイドルCDはビジュアルが優先で、歌唱力は二の次、的なところがあるが、浅香唯は声量があり(これ重要)声の質も可愛らしい。で、可愛らしさに終始せず勢いがあるからポップ、ロック楽曲を歌っても聴く側は心地よいのだ。



 今年のゴールデンウィークは嫁さんと名古屋へ二人グルメ旅をすることになった。

 『仲のよろしいことで』というコメントは的外れである。と先に明言しておこう。この旅行は割り勘の旅なのだ。どこの夫婦が家族旅行で割り勘を強要するのか。

 会社の事務員に説明して、本気で爆笑されてしまった。『呉さん、マジですか?』と。マジなのだ。

 『アンタ、私と旅行したいやろ? 割り勘で』これでノーと言えるだろうか? 一体どこのヤクザか。私は涙が溢れそうになるのを必死で堪えた。二万円は必要だろう。二万円もあれば、欲しい本がたくさん買える。

 が、拒絶は死を招く。私は心を殺して『せめて木造復元中の名古屋城本丸御殿と、名古屋グルメを堪能して憂さを晴らそう』と決めた。途中のブックオフ寄りも、嫁さんの眉間にシワ、北斗の拳のラオウばりのシワが刻まれるに違いない。まんず自粛となるだろう。


 味噌カツ丼のお店『


 おっ、この近くにブックオフもある。デカそうだ。


 ひつまぶしのお店『一富士

 
 手羽先のお店『風来坊


 味噌煮込みうどんのお店『山本屋本店


 あとは、みたらし団子と、エビフリャーと、土手煮エビと、汁無し担々麺のどれかをチョイス。

 あっ。節約のため、新幹線は使わないのだ。姫路から名古屋まで車である。運転は私なのだ(号泣)



いつも来てくれてありがとう。貴方が押すから順位が上がる。やる気も上がる。

伊藤美紀 PUCELLE





伊藤美紀 PUCELLE
発売日 1987年9月2日
型番 32DH 762


01. ハートのチェリーをあげる
02. 星空に唄えば
03. ピンクのリボン
04. GIRL 〜虹の彼方で〜
05. MY POP
06. 哀愁ピュセル
07. 図星16(SIXTEEN)
08. 小娘ハートブレイク (Re-Mix Version)
09. じぶん反抗期
10. 雨の中のセシル



【アルバム一口メモ】色々なアイドルCDを聴いてきたが、これは上質な一枚。作曲にAKBにも曲を提供している井上ヨシマサ氏を筆頭に、どれもキャッチーでポップな楽曲が目白押し。千葉から姫路に車で帰る車中、松本典子『ストローハット』を差し置いてヘビロテだった一枚。貴重な当時物、あるうちにお手元へどうぞ。



 さぁ、本日は真梨幸子『イヤミス短編集』を読んでみましたよ! 六編収録の短編集である。ミステリという枠に収まらない、というのは絶対に殺人が起こるわけでもなく、ミステリという冠は必要なのであろうか? と急に甲賀三郎のような厳格な物言いを始めてみたり。しかしネットで検索すれば『ミステリ』は1.神秘。不思議。怪奇。2.推理小説。という意味であり、決して殺人が絡む物、というわけでもないのである。

 読後いやーな気持ちにさせるミステリを『イヤミス』と称する。私も自作『鳥越第一産婦人科院長殿』に収録の『あるまじき錯誤』という短編で、その『イヤミス』というジャンル名だけでインスパイアされ一本ものにした、世間から完全に黙殺された『検便を強奪する』という内容の短編があるが(笑)この一節で興味をお持ちの方はぜひご一読ください。







 真梨幸子さんの作品は初めて読んだ。『小田原市ランタン町の惨劇』で粘着的に描かれる便所での嬰児出産シーン。この描写が結構エグくて、あまり女性はこういう書き方をしないのではないか? と普段から構えていただけにショッキングであった。

 あからさまに書く、人が目を逸らすことを客観的に書く、ということは個人的に素晴らしいことだと思うし、私の欠片のような文学観も、その辺りを崇拝している節がある。

 このシーンだけで、私は偉そうな言い方をさせてもらえば『おぬしできるな』となってしまったのである。この粘り着くような文体は、これも何様だよ! と言われるかもしれないが、女性版日影丈吉になりうるのでは? と個人的な感想。

 収録作品で一番のお気に入りは『初恋』最後まで読み終えて『えっ?! そういう技のための話だったの?』と唸った。これ以上の感想はネタバレになり未読の方の興味を削ぐことになるのでやめておこう。

 『ネイルアート』の作中で繰り広げられる、掲示板の管理人の苦労話は、実際にありそうで笑ってしまった。

 私は読後イヤな気分になるかと思いきや、全編楽しませて頂きましたよ。







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松本典子 Straw Hat




松本典子 Straw Hat
発売日 1985年07月21日
型番 32DH 264

01.いっぱいのかすみ草
02.ふたりだけのNEWSのままで
03.ジンジャー
04.なるほどネ!!
05.春色のエアメール[Album Version]
06.Good-bye あなた色の街
07.木もれ陽のフェアリー
08.グリーンの夏
09.青い風のビーチサイド
10.レモネードの午后







 成し遂げた。遂に店頭で見つけてしまった。昔からこの『だめなやつら』にお越しの皆様にはご承知のこととは思うが、遂に、千葉のブックオフで、松本典子のファーストアルバムCD『ストローハット』を店頭で見つけてしまったのだ。

 苦節七年である。見た瞬間、店内で奇声を発してしまった。

 ありとあらゆる店で確認してきた。『ま』の行を、くまなくチェックしてきた。無くて当たり前だった。見つけた瞬間我が目を疑った。

 四十七歳の私の、四十代におけるライフワークであった。

 嬉しさと、大いなる喪失感、それは長年掛けてきた達成感によるものだが、ちょっと言葉にできない脱力感に見舞われている。

 リングサイドでお嬢様が言うのだ。『他の人は観光やグルメで楽しんでいるのに、何故あなたは旅先で松本典子を探し続けるの?』と。CDを手にして私は言わねばなるまい。『燃え尽きたぜ、真っ白にな』と。

 コーナーポストで項垂れて、真っ白に。こう表現しても決して大袈裟な話ではないだろう。七年間である。なんなら尿と大便も漏らしているかもしれない。リングサイドで弛緩しきっているのだ。

 大いなる虚脱感。

 パーマンがバードマンのパー光線を浴びて、両目が別々な方向を見、ヨダレを垂らし、これも尿と大便を漏らしているような虚無感。

 あの『ま行』を確認するルーチンが無くなったのだ。という喪失感。

 この前の四国一周ブックオフ巡りでかすりもしなかった最難関のCD。

 相棒の金平が、別働隊として東京のめぼしい中古ショップを探しても無かったのだ。まさかの千葉だった。

 今から思えば東京は住む所ではなく働きに出る所、その働き手が大勢住む街、正解は千葉だったのだ。

 あなたの街のブックオフを確認してほしい。松本典子の『ストローハット』は無いはずだから。

 ネットを使わず、自分の足で見つけるシリーズも、ここで一区切りである。

 次の目標を見つけなければならない。理由はなんでもよいのだ。相棒と車に乗って、城巡りと、周辺のブックオフをしらみつぶしに巡る。こういう漠然とした旅でもいいかもしれない。

 ネットの中古価格も結構高めの値段が付いている。見たら即買い、の一枚である。




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渡辺美奈代 WILL





渡辺美奈代 WILL
発売日 1991年10月21日
型番 SRCL 2178


01.ガラスの一秒
02.靴をはいたサマー
03.OH,YES!
04.星が生まれる夜には
05.愛するより愛されたい
06.汐風のDUET
07.チャンスかもしれない
08.グッバイBoy
09.夜明けのヒッチハイク
10.ピチカート・プリンセス
11.Hanakoの結婚



【アルバム一口メモ】おニャン子クラブ後期、ダブル渡辺として人気を博した渡辺美奈代の自薦ベスト。渡辺満里奈と人気を二分した。私は当時渡辺美奈代派であった。生まれつきのアイドル、と違和感なく思える人の一人。



 さて、長らくこの『だめなやつら』にお越しの皆様には、このブログの変化にお気付きになられている方もいるはずだ。何年かに一回は説明しておかねば訳がわからないだろうと思うので、このブログの趣旨を説明しておくと、まず『私は趣味でアイドルCDを買い集めている』『PCに取り込むとき、ジャケ画像を高画質の物に設定したい』『呉さんのジャケ画像助かってます、と言われて得意になったことがある』『ジャケ画像以下の文章はオマケ』という性質でスタートした。

 買い集めた物は私の家の三階にあたる高さ一メートル、広さ二十畳の屋根裏部屋、通称『ザイオン』に保管されるのだが、最近、そこに登る度に物たちの恨めしい声が聞こえるようになってきた。幻聴である。

『ちゃんと全部聴いてくれ〜』『最後まで読んでくれ〜』『最終面までクリアしてくれ〜』といった物たちの叫びだ。

 そこで私は出来うる範囲で買ってきたものに向き合うことにした。このジャケ写をアップする際に、私は実際にプレーヤーに入れて聴きながら作業している。そうして一口メモを残し、興味が沸けば買えるようにリンクを設置する、というブログ内進化を遂げた。

 そのリンクで買い物をしてくだされば、私に十円くらいは入るのではないだろうか。

 そして、Twitterでは読んだ本の感想を呟いたりしてきたが、これもここでリンク付きで紹介してみようと思い立った。先日の久生十蘭『少年』の感想で、実際に興味が沸いてAmazonでポチってくださった方がいた。

 これも紹介した方としては嬉しかった。

 やはり『これ面白かったよ』『読んでみる』『どうだった?』『良かった!』こういうキャッチボールが根っから好きなのだ。

 なので2017年、だめなやつらは、買ってきた物に対してちゃんと向き合うよう企業方針を変更しました、と高らかに宣言してみるのである。

 で、本日の読了本は松本清張『アムステルダム運河殺人事件』である。







 遅読の私がたった二日で読み終えてしまった。面白くてページをめくる手が止まらない、とはまさしくこのことだ。

 実際に起きた迷宮入り事件をベースに、独自の解釈で作品に仕立てている。

 それぞれのキャラが立って、ワーワーキャーキャー言いながら、エンタメ的に事件が推移していく。そういう娯楽作品も嫌いでは無い。だが、この作品を読んで思うことは『圧倒的なリアリズムは余計な娯楽要素がなくとも充分に面白い』ということである。

 そもそも人間とは秘密が大好きである。どんな真相が隠されているのか、他人の秘部に顔を突っこみたくなる野次馬心理というものは、誰でも持ち合わせていることだろう。

 そして松本清張の硬質で簡潔な文体はとても作品にマッチしている。

 運河に浮かぶトランクを開けたら、そこに首と手首と足を切断された屍体が入っていた。という出だしからショッキングである。物語は前半を当時の報道記事、関係者の証言を羅列しデーターを提示するパート、後半を二人組が現地に趣き、推理を組み立てるパートに分けられている。

 事件がシンプルなだけに、読む物は自分なりの解釈を立てやすいだろう。

 私は真相とは別の犯行現場を考えていたのだが、清張の推理を聞いて『なるほど』と唸った。推論に間然とするところが無い。あと、被害者の目撃情報のちょっとしたカラクリと矛盾を指摘する箇所も大いに唸らされた。

 こういうドキュメント物は性格が大いに影響する。私はズボラなのでからっきし駄目だ。後から思えば新聞記事、証言等の矛盾は丹念に読んでいればピンときただろう。要するに『事務職失格脳』というわけだ。

 あなたはどうだろうか? 両手首を切り落とした推論を纏める事が出来るであろうか?





いつも来てくれてありがとう。貴方が押すから順位が上がる。やる気も上がる。

中山美穂 VIRGIN FLIGHT




中山美穂 VIRGIN FLIGHT
発売日 1986年8月1日
型番 330A 50084

01. 「C」
02. HEARTBREAK
03. 生意気
04. 放課後
05. あ・そ・び
06. ラストシーンに愛をこめて
07. モナリザ
08. ときめきの季節
09. 色・ホワイトブレンド
10. 「C」
11. BE-BOP-HIGHSCHOOL


【アルバム一口メモ】中山美穂、初のライブアルバムだ。演奏は原曲に割と忠実。曲では『生意気』『色・ホワイトブレンド』がいいね。80年代のアイドルライブがどのようなものだったのか、手軽に知ることの出来る格好の素材。




 あぁ、読んでしまいましたよ。遂に。復刊されるまではオークションでン十万円の高値が常に付く、伝説の奇書。栗田信の『醗酵人間』を。





 Amazonレビューを初め、色々な書評が出ております。このサイトとこちらからの一方的な友好都市(笑)『探偵小説三昧』さんでも取り上げられております。私はミステリーを読むと、必ず『探偵小説三昧』さんを訪れ、自分の感想と照らし合わせるのを常としておるのです。


 で、この珍品。どんな話かと申しますと、村同士の道路引き込みの抗争で、主人公、醗酵人間である九里魔五郎の父が、対抗する村の人々にひどい殺され方をされ、ヨギの秘術を身につけて(それが酒を飲むと身体が醗酵して何十倍にも膨れあがり怪力を発揮する技)、深夜墓場から蘇る。

 という復讐譚なわけですよ。

 で私、天下の奇書とありますから、もっと悪文でひどい代物かと身構えておりましたら、それが結構楽しめてしまいまして。最初の二割くらいは(笑)

 読書、というものは先日読んだ久生十蘭『少年』の、人の哀しみを推し量ってみて、こちらが押しつぶされて号泣する、とか、今後の人生に対して、大いに役に立つ警句が含まれている、といった側面もございますが、この作品、そういった有益なものは全くございません。読み終わったあとの率直な感想をこの場で言わせて貰えるならば

『テメェ、行き当たりばったりで書きやがったな!』

 という一言に尽きます(愛を含んだ叱咤激励)(笑)

 いろいろと惜しいんですよね。ヨーグルト・マンと呼ばれる怪人なんだから、もっと引きで溜めて、じっくりカメラを寄せてアルコールを飲んでからの変態シーンを毎回丁寧に描写する、とか(読む方は『いよっ、待ってました』となる)、最初は明確な復讐譚で始まるのに、途中から殺人の焦点がグダグダになる、とか。

 初志貫徹、例えば父親の敵、五人を執拗に狙う、みたいにしっかりとフォーカスを合わせれば、ここまで珍品の汚名を着せられずに済んだかもしれないのに。

 最後も本当に分かりにくい。ぶつ切りに近い終わり方である。結局醗酵人間はどうなったの? とか下僕の片眼男はどうなったの? と読む者は読後、巴投げを食らう格好になる。

 いやー、すすめにくい。しかし帯にある『天下の奇書』の文句に偽りはないです。奇書ですか? と聞かれたら『奇書です』とハキハキ答えられる。そんな本です。

 次に読む本が決まらない。感動する本ばかりを読んだから、次は変わったものが読みたい。そんな貴方にピッタリな極北の本です。



いつも来てくれてありがとう。貴方が押すから順位が上がる。やる気も上がる。

田中陽子 ベスト




田中陽子 ベスト
発売日 2003年3月19日
型番 PCCA-01871


01. 白のコンチェルト (未発表曲)
02. 陽春のパッセージ
03. 一人にさせない
04. 夕陽のクレッシェンド
05. 水たまりの太陽
06. 陽炎のエチュード
07. 放課後の冒険者たち
08. 太陽のバースディ
09. 夢の中の待ちぼうけ
10. 陽のあたるステーション
11. 赤い口紅
12. 陽春のパッセージ (オリジナルカラオケ)
13. 夕陽のクレッシェンド (オリジナルカラオケ)
14. 陽炎のエチュード (オリジナルカラオケ)
15. 白のコンチェルト (オリジナルカラオケ)


【アルバム一口メモ】短い活動期間で引退してしまった田中陽子のベスト。決して上手いとは言えないが、アイドル然とした世界観で曲そのものが良い。私のイチオシは『水たまりの太陽』だ。YouTubeで、ぜひ豪快な振り付けからのパンチラを御賞味頂きたい。



 あー参った参った。やられた。今、涙でパリパリになった目で、キーボードを打っている。久しぶりに小説を読んで泣いた。泣いたでは済んでいない。慟哭に果てしなく近い泣き方であった。太宰治の『眉山』を読んだ時以上の感情の高ぶりが私を襲った。

 小説の神様、短編の名手、久生十蘭である。『十蘭万華鏡』に収録されている短編『少年』を読んだのだ。





 この歳になっても、まだ私の感受性は枯れていなかったようだ。不意打ち、というか丹念な積み上げ、というか、なんせ久生十蘭はズルい。

 短編の内容は軍記物である。士官と少年兵の交流を描く前線での話。私は戦争体験などないから、空想を逞しくして世界観に付いていった。

 士官に少年兵が挨拶に来る。とても利発でハキハキとした少年兵は、士官が内地に残してきた自分の長男と、少し姿のダブるところがあり、特別な感情を持つことになる。

 なんせ短い話なので、明るく士官にあどけなさの残る風の報告をしにくるシーンや、丸刈りの頭から愛称が『お地蔵さん』であるということなど『もしかして哀しい別れが待っているのかも』と読む方は身構えながら読み進むことになる。

 現代でいう中学生くらいの少年兵が、上官からの命令を必死に暗記し、朝早くに起こせ、と言われたら入り口の前で待機し、買い物をしてこい、と言われたら健気にこなす。この縦社会での『いじらしさ』

 このような少年までもが戦争に駆り出されていた時代の残酷さが浮かび上がってくるではないか。

 士官は決して感情的にならない。戦時中だからだ。私情は挟まない。淡々と命令を下し、少年兵と対話する。しかし相手は少年兵だ。士官が移動する際、荷物運びを手伝ったり、赴任先での注意点を、例えば椰子の木の下で寝ると、椰子蟹が椰子の実をハサミで切り落とし、落下すると相当危ない、ということをハキハキと話すのだ。

 そこに士官の感情は描かれない。思っていたとしても感情を表に出さない。

 ネタバレしない程度に書くが、赴任先で結局少年兵は機銃掃射の犠牲になって士官に看取られながら死ぬ。口は半開きのまま固まって動かない。士官の質問に今にも返答しそうだ。

 夕暮れで辺りは夕陽の色に染まっていく。凡百の作家なら、ここまで筆を進めて、どう落とすだろう。黄昏の風景描写に絡めて、士官の心情を炙り出す、くらいのことではないだろうか。

 『泣き文学』というものがあるのなら、この『少年』という作品も自分のリストに加えたい。ラスト五行、私は不意打ちを食らった。

 まさかの方向から意識外の攻撃を受けた。甘みを引き立てるのは塩。士官は一言も『可愛がっていた少年兵が死んで哀しい』とは言わない。しかしそこにいる皆が哀しいのだ。

 それをとんでもない表現と、哀しみを抑制する冷徹とした思考が、生真面目な士官の心情を炙り出し、読む者の涙腺を決壊させるのだ。

 私は気を抜いて読んでいたので『そんなところからくるのか!』『久生十蘭、神か悪魔か!』『あー、上手いよ十蘭、完全にやられた』と溢れる涙と嗚咽を堪えながらラスト五行を読み切った。

 どう泣かせにきたのかは、ぜひご自身の目で確かめて頂きたい。



いつも来てくれてありがとう。貴方が押すから順位が上がる。やる気も上がる。

中山美穂 AFTER SCHOOL




中山美穂 AFTER SCHOOL
発売日 1985年12月18日
型番 K32X 77

01.STARLIGHT VACATION
02.生意気
03.けんか友達
04.放課後
05.蒼ざめたペンダント
06.あ・そ・び
07.HEART BREAK
08.「U」
09.ストリート・ファンタジー
10.白いはがき


【アルバム一口メモ】中山美穂のセカンドアルバム。アイドルソングというか、トーンは完全に歌謡曲だ。駄作、面白みに欠ける、という評も多いが、一周回ってそういうアルバムこそ、今愛でる時ではないだろうか。


 さてさて、新刊のプロモーションも終わり、次のステップに移る前に、今回の単行本の感想など一つ。今回は本当にKindleアンリミテッドに登録して良かった、ということに尽きる。

 毎日グラフが伸びているのだ。これは『呉エイジに百円出すのは惜しい』が『年会費払っているサービスの範囲内で読み放題なら読んでもよい』という層にも食い込めているようで、これが前作にはなかった特色となった。

 いろんな電子書籍サービスがあるが、Amazonは通販も含めて、やはりポピュラーな選択肢であると言わざるを得ない。こんな私にでも確実な収入に繋がっているのだから。

 あと近況も報告しておこう。最近読んだ本の紹介だ。Kindleで安かったので、思い切って買ってみた。本当は紙の本が好きなのだが、値段も安かったということで。


近田 鳶迩さんの『かんがえるひとになりかけ』を読んだ。第九回ミステリーズ!新人賞の受賞作だ。



 お値段なんと108円。財布に優しく、そして新人賞である。そんなに長くもなくサクッと読めるお手軽さ。

 まず設定が面白い。目を覚ますと(といっても目は開くことが出来ないことを知るのだが)どうも自分は胎児であることに気付くのだ。意識はある記憶もある。

 自分の部屋で殺される直前までの記憶はあるのだ。そうしてお腹の皮膚越しに、母と交わす相手との会話を聞きながら、自分の死について考えたり推理したりするのだ。

 短編なのであんまり書くと大ヒントになってしまう。この設定で結構なサプライズと企みをぶっ込んできている。構図は最後まで予想できなかった。

 意欲的で刺激的な作品である。おすすめしておきましょう。



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渾身の最新単行本
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