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西村知美 SNOWMANの贈り物




西村知美 SNOWMANの贈り物
発売日 1988年12月21日
型番 CT32-5371


01. プロローグ
02. シンデレラの卵
03. わすれないでBOY
04. ジャクソン・5で口づけを
05. 雨音のレクイエム
06. LOVE~ラブソングを作ろう
07. きゃきゃきゃのきゃ(NEW REMIX)
08. あなたらしさが欲しい
09. Blueberry Jam
10. 偶然ね
11. MR.SNOWMANの招待状


【アルバム一口メモ】発売は1988年である。思えば豊かな時代だった。アイドルのCDが全国どこでも、普通に買えたのである。今ではどうだ。物ではなく配信が中心となり、CDショップは消え失せ、盤を買おうと思えば大都市に出掛けるかネット通販しか手段がない。CDだけではなく本屋も規模の小さい店から畳んでいく。こんな時代になるとは思わなかった。豊かだった世相を思い起こさせる一枚。


 さて、初めて小池真理子の作品を読んだ。これがまた面白く、新鮮で、遅読の私が一気に読み終えてしまったのでご報告する次第である。短編セレクション【幻想篇】の『命日』だ。





 心地よいリズムの文体、好みの文体だ。経歴を見れば直木賞作家、やはりなぁ、という感じで唸らされる。女流作家特有の、丹念な情景・心理描写が積み上げられ、読み終えてもどんよりと後に残る恐怖が印象的だ。

 私も物書きの端くれとして読んでいて思うのが『こういう細々とした情景描写、簡潔に書くとしても大変だよなぁ、根気あるなぁ』というとても情けない思いであり、恐怖を描くためには、その辺を蔑ろにはできない、むしろそこをガッチリ補強しておかないと、恐怖が活きてこない、というものであった。

 『命日』『家鳴り』『流山寺』『水無月の墓』『ミミ』の短編で五篇収録。

 個人的に一番良かったのは『命日』。どの作品も引っ張って引っ張って、幽霊がバン! と出てくるお化け屋敷的なものではない。巻末にエッセイが掲載されているが、肉親に霊感の強い者がいて、それが自然に異界の者との交流を話す。

 『命日』に描かれる、引っ越し先の借家に以前住んでいた、幼くして亡くなった女の子の幽霊、それは足が悪く『ヨイショ、ヨイショ』と足を曳いて近付いてくるのだが、瞳は大きく真っ黒な空洞で(小池作品の幽霊の描写がほとんどそうで、近親者が見えていた実際の異界の者も、そうだったのかもしれない、と思わせる)死期の近い母に近付いていく様が描かれる。

 娘の『なんでウチの家族にまとわりつくの?』という極真っ当で悲痛な叫びは、幽霊には届かない。それはもしかしたら死ぬ間際の人間には、皆そのような異界の者が忍び寄り、見えてしまった者だけの『知る不幸』であるのかもしれない。

 その他では『流山寺』のネタが光る。死に別れた夫が、平然と死ぬ間際に買ったマンションへ帰ってくるのだ。夫は幽霊となったことを自覚していない。死んだことを忘れているのだ。

 夫を愛していた妻は『なんとか死を気付かせないように、一日でも多く帰って来る日を、一緒に過ごせる日を増やせるように』夫の死に関連する話題を避け、一緒にくつろいだり酒を飲んだりする。

 見えてしまう人、もこのような感じで、生前の生活スタイルのまま戻ってきて、元いた場所で振る舞う様を見ているのかもしれない。こちらが忠告しなければ、幽霊はいつまでも気付かず、生きていた頃の生活パターンを延々と繰り返しているのかもしれない。

 文体も、素材の扱い方も好み。巻末の既刊『短編セレクション官能篇 ひぐらし荘の女主人』も探してぜひ買い求めなければならない。

 綺麗な方で、このような美しい女性だと(特に官能篇)

koike.jpg

 筒井康隆の『大いなる助走』で描かれていた、同人内での合評会『これはあ、あ、あなたの実体験を書いているのでしょうか?』と、己の性的な興味に重ね合わせて尋ねてしまう文学オタクからの質問の図、またはその弊害に見舞われてきたのではないか? と勝手に想像をたくましゅうして見てしまいましたわい。

 いやぁ、理知的で、そして綺麗な御尊顔の女性が書く『官能的な創作物』というものは、高尚的なだけにエロいね。






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芳本美代子 コンプリート・80’sシングルズ




芳本美代子 コンプリート・80’sシングルズ
発売日 2008年8月27日
型番 TECH-25195-6


DISC.1
01. 白いバスケット・シューズ
02. 海辺のテレフォン・ボックス
03. プライベート・レッスン
04. Endless Love Song
05. 雨のハイスクール
06. ワンサイデッド・ラヴ
07. アプリコット・キッス
08. 16才の場面
09. 心の扉
10. 哀しみのレイン
11. 青い靴
12. 天然色の夏
13. Auroraの少女
14. Feel So Fine
15. 横顔のフィナーレ
16. 悲しきチャーリー
17. ヴァニティ・ナイト
18. シャ・ラ・ラ
19. for you…(美代子プライベートメッセージ)

DISC.2
01. 東京Sickness
02. It’s a Wave
03. Heroes
04. 綺麗なブロークン・ハート
05. 涙のイヤリング
06. 複雑なセレナーデ
07. 恋するブランニュー・デー
08. ハートのPuzzle
09. センチメンタル・カーニバル
10. 太陽の密会
11. サカナ跳ねた
12. 隠したJe taime
13. 真冬のウサギ
14. You…
15. BAD BOY…
16. Two To The Power of Love
17. 青い靴(ロング・ヴァージョン)



【アルバム一口メモ】普通、並の楽曲なら何度か聴いて良さが染みこんでいくものだが、一回聴いただけで心を鷲摑みされてしまう楽曲がある。私にとってそれは『白いバスケット・シューズ』であった。良い曲のオーラーが詰まったナンバー。





 新刊コーナーで目に留まったのでジャケ買いした一冊。イラストはなかなかに扇情的であるが、本編はどれも気品溢れる仄かなエロスの短編群である。

 堀辰雄、太宰治、芥川龍之介、森鴎外、といった文豪の名前が並ぶ。エロスを読みたい、だが部屋に持ち込めばお母さんに怒られる。そういう人にとって本書は『これはファミコンじゃないよ、MSXはパソコンだから勉強のための機械なんだよ』といって親の目の検閲をすり抜けることと同義の意味合いを持つ、高尚さを纏った娯楽、と言えるだろう。

 どの短編も興味深く読めたが、特に印象に残ったものにだけコメントを添えておこう。

 田山花袋『少女病』電車内で乗り合わせる女学生に、妄想を膨らませる妻帯者の思念が綴られる。現代で言えば『ストーカー』だろう。落とし物を拾って渡してやったので、向こうは私の顔を覚えたはずだ(こういう場合、男の想いとは逆に、女性側はなんとも思っていないのが常なのだが)といった超理論が面白い。オチは『アレッ? そっちに持って行っちゃうのね』という様相を呈する。探偵小説趣味的な一本。

 谷崎潤一郎『青塚氏の話』濃厚なる一本。若い映画女優を妻に持つ映画監督。その前に『貴方よりも奥様を知り尽くしている』と豪語する人物が現れ、とんでも理論を聞かされながらその人物の家に招かれ、とんでもないものを見せられる。というのが粗筋。
 あぁ、これだ、と読み終えて溜息をついた。初期、江戸川乱歩の短編を読んだような感慨。私は結局、こういう話が好きなのだなぁ、と再確認した次第。

 太宰治『満願』とても短い作品だが、色々と深読みできる一本。医者の奥さんの『さしがね』がどこに引っかかるか、がポイントになるのだが、私は幾分女性にだらしない太宰に対して、医者の妻が患者である新妻、それは肺病を患う夫を持つ美しい女性なのだが、その新妻が禁欲を強いられていることを敢えて太宰に見せつけ、太宰の仄かな新妻への興味も読み手に垣間見せながら、最後に『お許し』が出た新妻が、心浮き立たせてパラソルを回しながら帰路に就く様を美しく演出し、新妻の心が夫だけにあることも含め、それを『美しいものを見た』と照れ隠ししながら太宰に書かせるまでのことを指す『さしがね』に一票、というところだ。

 川端康成『舞踏靴』この作品が一番良かった。ちょっと純文学を侮っていた。読まず嫌いで勝手に『どうせ退屈だろう』というイメージしか川端康成には持ち合わせていなかったのだが、壊れかけ寸前の危うい青年の心象が、言い訳言い逃れひっくるめて、どうにかして踊り子のストッキングを所有したい。という強い思念を描いており、谷崎にも一脈通ずる粘着質な変態心理を見事に活写している。最後は純文学であるはずなのに、盗まれた女性もエスカレートしていき、エンタメ的で印象的なシーンをもって終わる。こんな作品があるのなら、川端康成ももっと深く読まねばならない。死ぬまでに読まねばならない。ヤフオクで全集を探してみようか、そんな気分にまで持って行かれた一本である。





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渾身の最新単行本
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マックピープルの巻末に毎月こっそり「我が妻との闘争」を連載しておりました。電子書籍1巻から5巻、絶賛発売中!

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