小川範子 そのとき

そのとき

小川範子 そのとき
発売日 1989年7月26日
型番 32TX-2218

1.夏色の天使
2.砂のページ
3.等身地図
4.夢・星・風
5.イギリス海岸
6.桜桃記(ひとひら)
7.あれが最後のほほ笑み
8.ウイスパー・ダンス
9.星の地図
10.果てしない物語

毎日の夕暮れ時、子供達の帰宅を促す安っぽいスピーカーから流れるメロディが、そう、あのオッサンが大事な町内行事を伝える時、自分だけ気持ち良く喋るだけ喋り、家の中では周りの山々によって反響・増幅され、思い切りデイレィとエコーがかかり、何を言うとるかサッパリ分からんあのスピーカーだ。

そのスピーカーが毎日メロディを奏でるそのときである。

そのオバハンは決まってやってくる。一匹のチワワを引き連れて。

毎日だ。決まった時間に。愛しておるのだろう。チワワを。

そのクソこざかしいチワワが、我が家の前に立つ電柱の前で、必ずお小水を垂れる。

なんでウチの玄関前の電柱でなのか? そこでないと駄目なのか? 50メートル先には家のまだ建っておらぬ田んぼ横の電柱が腐るほどあるではないか。

私は小心者で、この村の人々と揉め事を起こしたくはないので、いつも二階のカーテンの隙間などから観察だけして一人胸を痛めるのである。

「あぁ、またやってるよ」

他にする場所はあるだろう。ションベンの場所くらいでケチケチするほうが間違っているのだろうか。そういう精神が日本を駄目にするのだろうか。電柱前に家を建てた者の、これは運命なのか。

神経質な方ではないが、何年も溜まった小水の跡から蒸気が立ち込め、我が家の洗い立ての洗濯物や、室内にその気化した小水が入るのを想像してみたら、あんまし気持ちのいいものではない。

抗議するのも怖いので、意思表示だけしてみよう。と思い、ある日そのチワワが玄関横の電柱で小憎らしげな体勢を取った時を見計らって、私はワザとらしく郵便受けを覗きに行った。

そうして無表情で垂れ流される小便を無言で見てやった。手には夕刊やらダイレクトメールを持ちながら。

オバハンは私が単に郵便物を取りに来ただけなのか、内心怒っているのか判断に苦しんでいるようであった。

そうして用を済ますと、5メートル程離れたところで、背中越しに「かしこいねー、電柱でしたのねー」と、私に小さな独り言を聞こえるのを期待しながらチワワに話しかけていた。

貴方の家の塀にさせているわけじゃありません。電柱です。的な毅然とした意思表示である。

そうなるともうこっちは何も言えない。ムッキー。

あのチワワがおっ死ぬまで我慢せねばならぬのだ。

あぁ、ツマラン事に気付いたおかげで、なんだかストレスになってしまった。なんとか発散する術はないものであろうか。

と、ここまでが前置き。

実生活でトラブルを起こしたくない私は、妄想によって発散する。

私はこっそりそのオバハンの後をつけて家を確認する。そうして預金通帳から現金を引き出し、そのままペットショップへ。

なるだけ大きい犬を二匹買う。ゴールデンレトリバーとか土佐犬とか。

そうして散歩前に2リットルほど水を飲ませる。で、私が「よし」と言うまでオシッコをさせないしつけを施す。

いざ出陣、そのオバハンの家の前の電柱まで、二匹の巨大犬はおりこうさんにオシッコを我慢する。

そうして放出! ゴムホースの先を手で細めて、放水の勢いを増す時くらいの豪快な二匹のションベン、たっぷり2リットル。

それは犬のションベンの域を超えて、滝の如くであった。電柱が湿る程度では納まらず、黄色い川を作りオバハンの玄関前まで流れを作る。

巨大犬のションベンは濃厚だ。乾けばその黄色い湖の縁はグラデ気味に何日もクッキリと残るであろう。アスファルトなのに。

「ちょっと、ちょっと、お宅、何をしてるんですか?」

「散歩ですけど? この電柱が気に入ってるみたいで。あっ、その可愛いチワワちゃん。いつも私の家の前に来てるよねー。可愛いねー。犬っていいですよねー」

「確かに私も犬を飼ってますけど、そこまで大量のオシッコはさせていません。川になってるじゃないですか。出入りする時に踏みそうですし、臭いが室内に入りますから止めてください」

「別に貴方の敷地内や壁にさせてるわけじゃありません。公道の電柱ですから」

私は二匹の巨大犬に引っ張られるようにしてオバハンの家を後にする。

あー、こうしてみたい。でも土佐犬買う金がない!

こういう妄想だけで自分を慰めているのだ。そうして今日も夕暮れのチャイム時、あのオバハンはやっぱりチワワとやって来るのであろう。。。

このオバハンをギャフンと言わせ、状況を一変させる強力な一言、もしくは報復の妄想などございましたらぜひコメント欄まで!


馬鹿チワワ!に一票!

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Re: 追加

発売日、どんなゲームなのか
想像もつきませんでした。
ファミコンの表現能力からすれば、格段の進化でしたよね。

追加

小川範子のゲームって密かに”世界初のCD-ROMのソフト
です。しかも生声も収録されていて、”生声の収録も世界初
です。
次回の小川範子の記事を楽しみにしてます。

Re: 小川範子

あぁっ!そうですね!迂闊でした。
ありましたよねー!
からめて紹介すればよかったです。
持ってますから(笑)

小川範子

そういえば、昔PCエンジンで”NORIKO”とかいうゲームがありました。
渾身の最新単行本
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