ゆうゆ Summer Tasty

ゆうゆ Summer Tasty
発売日 1988年7月21日
型番 D30A0379
1.ついて行けない~がんばれボーイフレンド~
2.TANSAN
3.ドラマチックにいちぬけた
4.左胸あたり
5.YES/2
6.サイケデリックレイン
7.見てしまった
8.爪を噛んでた
9.ゆうゆアドリブソング
あれは小学校3年か4年の頃であったか。
田舎に帰った時、年下のいとこが「山奥に滝を発見した。スゲーから行ってみよう」っつって、ワクワクしながら出掛けたことがあった。
どんな滝だ? テレビで見るようなグォーッって流れてる滝か? と問うてみても、いやぁ、まぁそんなには、でも滝!
みたいな消極的な返事しか返ってこず、もしかしたらチョロチョロとこぼれ落ちてくる水を「滝」と称して嬉々としているだけかコイツ。みたいな疑念もなくはなかったが、まぁ、夏休みでヒマだったので付き合ってみることにした。
どんぐらいだ? と聞けば、スゲー山の奥。水曜スペシャル級と、当時のボキャブラリーを総動員した比喩がなされ、途中までは遊歩道を使って登り、中腹ぐらいから道なき道を我々は進みだす。
こんなシンドイ思いをして、小便小僧級の水だったならば、いとこでもシバく! という想いを胸に、しこたま汗をかきながら、ひたすら滝を目指していた。
その時、である。
うっそうと茂った木々の間から、いきなり20歳くらいの全裸の女性が笑いながら走ってきたのだ。
我々は腰を抜かさんばかりに驚いた。
今ならば、そんなうら若き女性の全裸を目にすれば、当然の如く興奮するであろうが、我々はまだ小学生。
ただ恐怖しかなかった。
目が点になっている二人に、その南沙織に似た全裸の女性は「子供はあっちいってろ、バカ」みたいなメッセージを無言で送ってきた。

こっちは全然悪くないのに、睨まれた我々はその場から一目散に逃げ出した。
そうして物陰に隠れ、心臓をバクバクいわせながら様子を伺う。
「な、なんだありゃ? 見た?」
「見た。ちんげボーボー」
衝撃であった。こんな人気の無い山奥で一体なにをやっているのか。
草陰に隠れながら覗き見ていると、裸の女性は一人ではなかった。三人もいたのである。
そうして、その後ろから初期の浜田省吾や、シルベスタスタローンが映画「コブラ」でかけていたサングラスをつけた男性が、ニヤニヤしながら草を掻き分けて歩いてきた。
女性達はキャッキャとはしゃいでいる。
そうして女に近づくと、充分逃げられるはずなのに全裸の女性はその場で体操座りみたいにして屈みこみ、後ろから男が
「つーかまーえた」
といって抱きしめるのだ。
こっ、これは鬼ごっこだ。
青春の1ページのつもりか、男にとってはおいしい夏(Summer Tasty)か。
どうしてこういうことになっているのか。後年色々と考えてみた。
・男がスゲー金持ち。裸鬼ごっこしたら、一人●万やる。山奥へ遊びに行こうぜ。みたいな資産家の暇つぶしの可能性。
・サングラスで顔を隠していてわからなかったが、実はこの男、芸能人。で、女性にモテモテ。参加した女性は全員この芸能人のファン。で、ノリで遊んでいた。
・三人がこの男のことを好き。争奪戦。選んでほしくて男性を呼び出したが、エスカレートしてなぜか裸鬼ごっこに。
いずれの仮説もしっくりときてはいない。
当時の我々はただ驚くばかりで、親にも今日の出来事は言わない方がいいだろう、という判断から二人の秘密となった。
夜、布団にもぐりこんで、いとこと密談。
「すごかったな。おっぱいポヨヨンやったなぁ」
「おれらの鬼ごっことは全然違うなぁ。大人になったら、ああいう遊びもあるんやなぁ」
「すごいなぁ、綺麗な女の人、みなスッポンポンやったもんなぁ」
「大人ってすごいなぁ」
私は今年の五月で41歳を迎える。裸鬼ごっこに恵まれる機会はまだ、無い。。。

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