CATCH THE NITE 中山美穂



CATCH THE NITE 中山美穂
発売日 1988年2月10日
型番 K32X 240

01.OVERTURE
02.MISTY LOVE
03.TRIANGLE LOVE AFFAIR
04.SHERRY
05.スノー・ホワイトの街
06.CATCH ME
07.JUST MY LOVER
08.FAR AWAY FROM SUMMER DAYS
09.GET YOUR LOVE TONIGHT
10.花瓶

元来身体が弱かったせいもあったのだが、五郎は成人式を迎えた後、定職につくわけでもなく、家でこれといってなにもせずブラブラとしていた。

父親を早く亡くし、母と二人きりの貧しい暮らしであったため、五郎はいつまでも甘え癖が抜けなかった。

母親の強い勧めもあり、五郎は母親が見つけた新聞に出ている求人広告を出していた会社へ、渋々着慣れぬ背広を着て出かけていった。

家にこもっている間は、新聞やラジオとは縁の無い生活をしていたので、五郎は世の中の動きがさっぱりわからなかった。

採用されるには試験と面接の両方で及第点を取らねばだめだよ。出かける前に母親から聞いてはいたが、実際にどんな問題が出て、どんな話をすればいいのか、世間から隔絶していた五郎にはさっぱり見当もつかなかった。

緊張のまま、広告先での試験と面接を終えた。頭がいっぱいになって、なにをどうやったのか記憶に残っていない。

面接官は暗い顔をして五郎に近づいてきた。耳元で何か囁いたようだが、世間慣れと場慣れしていない五郎は極度の緊張で聞き取れない。

どうやら不採用のようであった。最後にこれを、と言って渡されたアンケートに『愛国心はありますか?』という問いがあり、五郎は余りよく考えずに『あります』の方に印をつけた。

その途端、面接官の顔色が変わった。

帰り際、受付のロビーで封筒を受け取った。採用通知と出勤日が記載してあった。

母親は合格通知を読んで大層喜んだ。夕飯には鯛が並んだ。

五郎の心配をよそに、勤務してみれば電話での受け答えと、商品の発注を間違えぬようにすればなんとか仕事としての格好がついたので『こんなことなら億劫にならず、もっと早く働きに出て母親に楽をさせてやればよかった』と思ったくらいであった。

いつもは定時になると、まっすぐ母親の待つ家へと急ぐ五郎であったが、会社の若者グループが会議室で集まって飲むから参加しないか? と声をかけられた。

親睦を図るため、定期的に行われているらしい。

会議室には二十代後半の先輩、ヒロシと、受付嬢のリサコ(21歳)事務員のすず(19歳)の三人が既に集まっており、先に飲み始めているようであった。

「やぁ、よくきたね、五郎くん」

コップにそそがれたのは日本酒であった。

「皆さんは、こうやって定期的に飲むんですか?」

「そうよ、結束は固い方がいいにきまってるし、団結していかないと駄目だと思うわ」

リサコが鼻息も荒く喋る。五郎は強い違和感を覚える。

「五郎さんももちろんそう思うでしょう? 日本が諸外国に舐められて黙っていられるもんですか。連綿と続く神の国の系譜を、踏みにじる相手にはそれ相応の報復をしないといけないと思うわ」

白いブラウスが可愛らしく、天使のような顔をしたすずさんも熱っぽく語る。五郎は返事に戸惑う。

「そうだね、みんな。よく言ったよ。自分たちの国は自分で守らなくちゃいけない。国があっての命だ。国がなくなれば命なんてなくなったも同じだよ。だからお国のために戦うことに何の迷いも無い」

「素敵、ヒロシさん」

リサコが頬を染めてヒロシの腕に絡み付く。

「もちろん五郎さんも同じ意見よね?」

すずが五郎の顔に触れそうなくらいに近づいて問う。

「い、いや、僕は国のために命を投げ出すなんて…」

「馬鹿」

いきなりヒロシの鉄拳が五郎の顔に入った。倒れる五郎。

「そうやって他人任せで生きて行くのか? 自分たちの国は自分たちで守らなくてどうするんだ」

手で鼻血をおさえる五郎。

「君は長い間母君と二人で暮らしていたらしいね、世間の動きから取り残されていたようだね。君の母親が侵略者に陵辱されても、君は同じように呑気なことを言っていられるかね? 僕は真っ先に迷わず銃を持ち、国を守るためにいつでも突撃できる覚悟はできている」

「素敵、ヒロシさん、私の乳を吸って」

才色兼備で真面目だと思っていたリサコが胸のボタンを外し、豊かな乳房を露にした。

「り、リサコさん、何をしているんですか?」

「ヒロシさんは命を投げ打って国を守る覚悟ができているのよ。それを聞いて五郎さんは何も思わないの? 男性が国のために命を投げ出すのなら、女性だって躊躇わずに身体を差し出すことができるわ」

猛烈な勢いで躊躇う事無く乳を吸い続けるヒロシ。ものすごく大きな乳房は柔らかそうであった。

「あら、五郎さん、顔が真っ赤よ。そういう経験がまだないのかしら? 五郎さん、さっきはああ言ったけど、本当は愛国心、持ってらっしゃるわよね? 照れて言えなかっただけよね?」

すずが透明感溢れる笑顔で五郎に微笑みかける。

「あ、ありますとも、日本が外国に舐められてだまっていられるか。その時がくれば先頭に立って、敵陣を切り崩してみせますよ」

「本当に? 素敵。五郎さん、私の一番大切な所を見て」

すずは片足を机の上に乗せスカートを捲し上げると、下着を掴んで横にずらし、女性の一番大切な部分を電球の下であらわにした。

「すず、さん…」

「触ってもいいのよ。敵をなぎ倒して行く五郎さんの勇姿を想像しただけで、すずは感動で身体が熱くなってきます」

隣を見ればヒロシもリサコの大切な部分を既に愛撫していた。

五郎は生まれてはじめて女性に触れた。そして、日本のために命をかける。この女性たち、愛すべき全国民を守り抜いてみせる。と固く誓うのであった。

(了)

初出 昭和19年「オール愛国心」八月号より


いつも来てくれてありがとう。ぜひ上の白いボタンをぜひ押してくれよ。今回は戦時中の戦意高揚小説を読んで怖くなって、自分なりの風刺のつもりで書いてみたよ。

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