おニャン子クラブ べスト





おニャン子クラブ べスト
発売日 1987年12月5日
型番 D32P6180


01. 恋はくえすちょん
02. かたつむりサンバ
03. おっとCHIKAN!
04. お先に失礼
05. 雨のメリーゴーランド
06. ハートに募金を
07. 間に合うかもしれない
08. 真赤な自転車
09. 早口言葉でサヨナラを
10. およしになってねTEACHER
11. NO MORE恋愛ごっこ
12. ウェディング・ドレス
13. 夏休みは終わらない
14. じゃあね
15. 瞳の扉
16. セーラー服を脱がさないで

【アルバム一口メモ】一世を風靡したおニャン子クラブのベスト盤、当時物である。一番有名なのは『セーラー服を脱がさないで』であろうが、筆者は『恋はくえすちょん』『およしになってねTEACHER』のポップの方が個人的に好みである。


 二日かけて一気に読んだ筒井康隆『大いなる助走』

 読み終わって一日経過しているが、すっかり毒気に当てられてしまい、未だ興奮冷めやらぬ状態である。

 筒井康隆の短編は相当読み、長編も何本か読んではいるが、この『大いなる助走』これまで読んだ筒井作品の中で、個人的に『傑作』の認定である。





 文章を書いたり、投稿サイトに自作の小説を発表してみたり、Twitterで呟くときに不特定多数の誰か、を想定してサービス精神を盛り込みながら呟こうとしたり、自分のブログで閲覧者に喜んでもらいたくて、文章や内容に工夫を凝らしてみたり、そんな『受け手』ではなく『発信者』の立場として、一度でも立ったことのある方、この筒井康隆の『大いなる助走』は込み上げる笑いと共に読み進められるだろう。

 さて、この傑作、シンプルに『おすすめなのでぜひ読んでください』で終わってもいいのだが、その一行ではひっかからない人もいるだろう。どのように楽しめるか、私がぐひひ、と笑いながら読み進めた箇所をご紹介してみよう。

 物語は地方作家に同人誌の主催者が原稿を依頼しに作家宅へ頭を下げに行くシーンから始まる。

「ねえ先生、先生に書いて頂かないと箔が付きません。五十枚、それが無理なら四十枚でも」

 それを聞いて作家は機嫌良く笑う。

「今からではとても無理だなぁ。『焼畑センター街ニュース』に読み切り12枚、『焼畑商工業新聞』の連載が5枚『焼畑市報』のエッセイfが16枚半『焼畑税務署だより』にエッセイ三枚書かにゃならんのよ」

 と流行作家を気取った物言いをしているのだが、読む物の大半は心の内でツッコムことだろう。『全部地方紙やんっ!』と。

 これだけ書いていくらになるのか、誌名とタイトルから推察すれば、収入は微々たる物だろう。そもそもスケジュールと枚数を即答できる時点で人気作家には程遠い。

 こういう虚勢の憐れみからくる笑い。『文章でお金を貰っている』というプライド、だが、抱えている仕事を説明すればするほど深みにはまる自分の地位の露呈。

 物語は細かくシーンに別れ、同人誌内部の悲喜こもごもを軽快に描写していく。

 同人誌作家の商業作家に対する隠れた羨望と、それを悟られまい、とするポーズ。

 作品のあらすじとしては、その同人の中から『直廾賞』候補者が出て、どうしても賞を取るために上京し、選考委員である大作家にワイロを渡し、自分の愛人を人妻好きの作家に提供し、男色の作家に自分の尻の穴を捧げる。

「そこまで手を回せば大丈夫ですよ」

 という世話人の言葉を信じて待っていたのだが、結果は落選。怒り狂った主人公は散弾銃を持って作家の家を周り、一人づつ射殺していきカタルシスを迎える、というとんでもない話なのだ。

 筋自体も面白いが、少しでも書き物をしたことがある人なら笑えるシーンが目白押しである。同人作家が同人誌の合評会を開くシーンなど、プライドから相手の作品を貶しまくる。

 その合評会に商業雑誌の編集者が飛び入りで参加する。

 商業雑誌の編集者の前で良い格好をしようと、同人グループは背伸びして大声で意見を交わす。

「君は『同人誌どまり』であることがいけないという前提で言ってるんだ。しかし商業誌にとりあげられることが同人誌に小説を書く唯一の目的じゃないという人間もいるわけだし、商業誌にとてもとりあげられそうにない作品だからといって、その作品の本来の価値が下がるものじゃないよ」

 ぐお、言い方は気取っているが、思いっ切り開き直っているし、ぐひひ、負け犬の遠吠えであろう。

「読者が少数だから趣味的とは限らんだろう。書いている本人にしてみれば、読者が多いか少ないかは問題ではなく、自分の世界を確立しようとして書いているんだ。趣味的、などといった遊び半分を思わせる言葉はよくないよ。自分との闘いだ。作家にとって書くことはゲームじゃなく、生きることなんだからね。単に、書かなければ自分が見失われるから書くんだ。もちろん読者が一人もいなければ虚しい作業ということになるが、読者が一人でもいる以上は断じて自己満足なんかじゃない。そうじゃないかね」

「わたしは商業誌に転載されない、ってこと自体が私の作品に対する評価だと思うから…」

「あなたのいう評価は文壇ジャーナリズムの評価でしょう。それが唯一のものじゃない」

 同人達は商業雑誌の編集者に聞こえるよう、遠回しな嫌味でポーズを取り繕う。

 そして我慢の限界に達した商業雑誌の編集者は『このうすら馬鹿どもめ』といった風で『そうですか? じゃあひとことだけ意見を』と謙虚に前置きして大演説をかますのである。

「そもそも小説を書く、というのは自分以外の他人に読ませる為に書くのであって、そうでないのなら書く必要はありませんね。自分一人の為に書くのなら日記でいいことで何も小説という形式にする必要はない。小説という、自分以外の他人にとって日記以外の他人にとって日記以上にわかりやすい形式で書いたというそのことがすでに、他人に読んで欲しいという願望のあらわれなのですから、この点で議論の余地はないと思うんです。〜中略〜賞やベストセラーを狙って書くことが発想の純粋さを妨げるなどと言う人がいますが、逆です逆です。たとえ同人作家といえどもその初心はといえば多くの読者に読まれ正当な評価を受けることが目的であったはずなのに、文壇ジャーナリズムから認められなかった場合たちまちふて腐れて直ちに商業誌への応募などをやめ、応募する者を小馬鹿にし、身近から文学賞を受賞した者が出れば口を極めて罵倒し、名声など副次的なものだ、文壇ジャーナリズムに文学はない、わしは好き勝手をやる、ジャーナリズムとの結びつきは欲しない、わしは別のルートで文学理念を打ち立てる、時流には乗らない、東京文壇にはない新しい文学を書くのだなどとほざきはじめやがるのだ。糞食らえ。あ失礼、うんこを食べなさい」

 抱腹絶倒である。

 そういう同人に揉まれながら、主人公の書いた自分の勤める会社の悪事を書いた告発小説(結局会社はクビになるのだが)が『直廾賞』候補になる。

 そうなれば集まってくる怪しい人々。

 渡された名刺には『第57回芥π賞候補』『第58回直廾賞候補』小説初潮短編小説二回入選 作家 萩原 隆

 ここで私は爆笑した。名刺に精一杯の経歴を印刷してはいるが、何も成してはいないではないか、と。これは現代でも見られる。自己紹介の欄に全部書く人は、記録として書いている人もいれば、精一杯の見栄を張っている場合もある。

 が読む方には滑稽に映る。○○賞二次予選通過、○○賞奨励賞、○○賞佳作入選 名前。

『結局貴方は何もスタートしていないではないか』と。

 でもこれは危険なループなのだ。私だって過去の栄光にすがって、自分の名前の単著を紙媒体で四冊出せている事をプロフィール欄に書いている。電子書籍が一冊でも多く売れて欲しいから箔を付ける為だ。しかしその虚勢は『五万部も単行本は売れていないではないか』と私より上の人に笑われ、その人は更に上から『バイトと掛け持ちではないか』と笑われ、更にその人は『文筆だけで飯を食い、子供を大学までやり、一軒家も構えていないではないか』と遙か上の人から失笑されるのだ。

 この他にも『色男に良い物が書けるわけがない』という感じの根拠のない中傷とか、同人の女流作家の性描写が『ほ、本当にあったことを書かれているのですか?』と、気持ちは分かるがストレートに聞いてしまう非常識な人種とか、興奮を抑え切れんのか! と。

 あと、賞の候補になっただけなのに『君を囲む祝いの会を開きたい』といって祝って貰う本人に金を全額出させようとする人間とか(タダ酒が飲みたいだけ)

 あぁ『もう傑作である』としか言いようがない。あまり再読はしないタチなのだが、この本だけはまた読み返しそうである。







いつも来てくれてありがとう。貴方が押すから順位が上がる。やる気も上がる。

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